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2024年4月18日 3時24分 愛媛県
17日夜遅く、豊後水道を震源とする地震があり、愛媛県と高知県で震度6弱の揺れを観測しました。この地震による津波はなく、気象庁は揺れの強かった地域では今後1週間ほどは最大震度6弱程度の地震に注意するよう呼びかけています。
気象庁によりますと17日午後11時14分ごろ、豊後水道の深さ39キロを震源とするマグニチュード6.6の地震が発生し、▼震度6弱の揺れを▽愛媛県愛南町と▽高知県宿毛市で観測しました。
愛媛県と高知県で震度6弱以上の揺れを観測したのは、現在の震度階級が導入された1996年以降、初めてです。
また、▼震度5強の揺れを▽愛媛県宇和島市で、
▼震度5弱を▽愛媛県の八幡浜市と▽大洲市、▽西予市、▽内子町、▽鬼北町、▽大分県の佐伯市津久見市で観測しました。
このほか、震度4から1の揺れを西日本と東日本の広い範囲で観測しました。
この地震による津波はありませんでした。
その後、午前5時までに震度1以上の揺れを観測する地震が20回、発生しています。
気象庁は揺れの強かった地域では家屋の倒壊や土砂災害の危険性が高まっているとして、今後の地震活動や雨に十分注意するとともに、今後1週間ほどは最大震度6弱程度の地震に注意するよう呼びかけています。
一方、今回の地震は、南海トラフ巨大地震の想定震源域内で起きました。
想定震源域内でマグニチュード6.8以上の地震が発生するなどした場合、気象庁は巨大地震との関連性について調査を始めたことなどを示す「南海トラフ地震臨時情報」を発表しますが、今回の地震の規模は6.6で基準未満だったとしています。
また、想定される南海トラフ巨大地震とメカニズムが異なるなどとして、巨大地震が起きる可能性が急激に高まっているわけではないという見解を示しました。
愛媛県内の自治体によりますと、午前4時の時点で、4つの市と町であわせて10か所の避難所に41人が避難しています。
▼宇和島市は16世帯32人、▼西予市は2世帯4人、▼鬼北町は2世帯2人、▼大洲市は1世帯3人が避難しているということです。
震度6弱の揺れを観測した高知県宿毛市では午前4時現在、市内5か所の避難所に11世帯23人が避難しているということです。
震度6弱を観測した愛媛県愛南町のコンビニエンスストア、ファミリーマート城辺店の従業員によりますと大きい横揺れが30秒ほど続いたということです。
また、化粧品などの商品が陳列棚から複数落ち、片付けを行ったということです。
従業員などにけがはないということです。
震度6弱の揺れを観測した高知県宿毛市の危機管理課によりますと、18日午前0時20分時点で、住民から市内各地で▼水道の水漏れや水が濁っているという報告のほか、▼街灯が倒れたり、電線が切れて垂れ下がったりしているという報告が寄せられているということです。宿毛市は引き続き被害の情報収集を続けているということです。
震度6弱を観測した高知県宿毛市の水道課によりますと、市内の西町と長田町の2か所で、水道管が破裂したという情報が入っているということです。
四国電力によりますと、震度4の揺れを観測した愛媛県伊方町にある伊方原子力発電所は運転中の3号機の出力がおよそ2%低下していることが確認されましたが、運転に影響はないとしています。
また周辺の放射線量を測定するモニタリングポストの値にも変化はないということです。
四国電力はこの地震によって施設内の設備に異常がないかどうか引き続き、点検を進めています。
気象庁によりますと、愛媛県と高知県で震度6弱以上の揺れを観測したのは、現在の震度階級が導入された1996年以降、初めてです。
1996年以降に愛媛県で観測した最も強い揺れは、2014年3月に伊予灘を震源とするマグニチュード6.2の地震で、このときは震度5強でした。
また、高知県では、2022年1月に日向灘を震源とするマグニチュード6.6の地震で最大震度5弱を観測しています。
政府の地震調査研究推進本部によりますと、今回の震源地を含む、安芸灘から伊予灘それに豊後水道にかけての地域では、沈み込んでいるフィリピン海プレートの内部で、マグニチュード7前後の地震が繰り返し発生しているということです。
平成13年(2001年)3月に発生した「芸予地震」は瀬戸内海の安芸灘を震源として起きたマグニチュード6.7の地震で、広島県で震度6弱の揺れを、また、愛媛県や山口県などで震度5強の揺れを観測しました。
また、安芸灘では明治38年(1905年)にもマグニチュード7.2の地震が起きています。
この地域では、17世紀以降のおよそ400年間に、マグニチュード7前後の地震が7回発生していることから、地震調査研究推進本部は、マグニチュード6.7から7.4程度の地震が、およそ60年間隔で繰り返し発生しているとしています。今後30年以内の発生確率は40%程度と評価しています。
愛媛県と高知県で震度6弱の揺れを観測した地震で、高知県では長くゆっくりとした揺れ、長周期地震動の「階級2」を観測しました。
「階級2」の揺れを観測したのは、高知県の宿毛市と土佐清水市で4つの階級のうち上から3番目です。
また、「階級1」の揺れを高知県、愛媛県、鳥取県、熊本県、大分県、宮崎県、それに鹿児島県の各地で観測しました。
長周期地震動は、規模の大きな地震で発生する周期が2秒を超えるような大きくゆっくりとした揺れで、特に高層ビルなどで影響が出ます。
気象庁は「階級2」は室内で大きな揺れを感じ、物につかまらないと歩くことが難しいなど、行動に支障を感じるとしています。
震度6弱や5強の強い揺れを観測した地域では、建物の中や周辺で被害が起きている可能性があります。
暗い時間帯で周囲の状況がわかりにくくなっているため、思わぬけがをするおそれがあります。
無理に移動したり作業したりはせず、片づけは明るくなってから行うなど、安全に気をつけてください。
【家具の倒壊に注意】
気象庁によりますと、震度6弱の強い揺れでは屋内では固定していない家具の大半が移動して倒れるものがあるほか、ドアが開かなくなることもあります。また、屋外では、壁のタイルや窓ガラスが破損し、落下することがあるということです。不安な場合は、自治体が開設する避難所や近くの頑丈な建物で過ごしてください。周囲が暗く、状況が把握しにくいため、移動する際にはほかの建物やブロック塀などに注意してください。
【夜間の片づけは危険】
地震の影響で、停電が発生しているおそれもあります。暗い中での片づけは、割れた食器やガラスなどでけがをする危険があります。今後も地震が発生する可能性があり、急いで片づけをする必要はありません。また、停電中に室内を歩くときは懐中電灯などを使い、スリッパや靴をはくようにしてください。また、これから自宅で睡眠をとる方は、ものが落ちない安全な場所で過ごすようにしてください。
地震で断水したときは、水道の元栓をすぐに閉めることが重要です。元栓を閉めることで泥や濁った水が家の水道管に入ってくるのを防ぐことができます。
過去の災害では、濁った水がトイレや給湯器の中に入って故障したケースがあります。トイレや給湯器、洗濯機の止水栓もあわせて確認し閉めるようにしてください。
また、トイレには水を流さないようにしてください。排水管が壊れると、水を流した時に汚水が逆流するおそれがあります。トイレが使えるか不安な時は、排水管に問題がないか業者やマンションの管理組合に確認するようにしてください。
今回の地震で揺れの大きかった愛媛県愛南町と宇和島市それに高知県宿毛市について、気象庁は地盤が緩んでいる可能性が高く土砂災害の危険性が通常より高まっているとして、大雨注意報と大雨警報、それに土砂災害警戒情報の基準を当面引き下げると発表しました。
このうち愛南町と宿毛市は通常の7割に、宇和島市は8割にそれぞれ引き下げられ、気象庁は揺れが強かった地域では雨の降り方に十分注意するよう呼びかけています。