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第1部 須佐之男命D完
古事記の神話は、須佐之男命(すさのおのみこと)とクシナダヒメの結婚の後、大国主命の物語に記述を移す。再び須佐之男命が登場するのは、兄たちに命を狙われた大国主命が根の堅州国(かたすくに)に逃げ込んだ際である。
<其の女須勢理売(むすめすせりびめ)出で見、目合為(めあはせし)て、相(あ)婚はむと還り入り、其の父に白(まを)して言(まを)さく>
スセリビメは、大国主命と目を合わせただけで結婚を約し、父に報告しようとした。その父が須佐之男命だった。父は気に入らず、蛇の室に寝かせ、ムカデと蜂の室に入れ、揚げ句は野に入らせて火をかけ、焼き殺そうとした。それを懸命に救うヒメの姿が、古事記には書かれている。
〈其の大神の生大刀(いくたち)と生弓矢(いくゆみや)と其の天(あめ)の沼琴(ぬごと)を取り持ちて、逃げ出でます〉