部屋
テレビが今じゃあまり見られない砂の絵を描いている、その時間の中 帰り道。
ぐにゃぐにゃなんだかカチカチなんだかよく分からない身体を引きずって、たまらず玄関に倒れこんだ。
目の前でしゅわしゅわと蛍光色がとびまわる。黄緑、赤、黄緑、赤。気持ち悪いけれどキレイで面白い。
部屋の電気をつけるとテーブルの上にラップがかかった皿ときみのメモがあった。余白にメガネの絵がひとつ。
ラップを外すとわたしの大好きなオムライス。電子レンジがないから冷めたまま頬張る。とても美味しい。瞬いていた蛍光のどぎつい色が、あったかい気持ちに丸め込まれてふわふわとしてみえた。
スプーン一杯分のしあわせ だ。
あくびに肩を抱かれ、床に寝転ぶ。目を閉じて キーンと響く耳鳴りのその奥、わたしだけの音を それだけを拾った。
静寂に沈みかけたときに、風が壁を叩いて過ぎていく。ハイライトに火をつけて、ぼうっと天井を 煙が吸い込まれていくその先を眺めた。
思考が泳ぎ、足りなかった言葉に色が塗られ、わたしの中に溶けていく。言い訳ばかりにならないように、心ないものに揺れてしまわないよう慎重に。
きみがいない日は退屈だけど、どこか愛おしい。これはやわらかいさみしさだ。
そうだね 太陽が窓から入ってくる
おやすみ また明日も
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