ナハトさん宅のソルティさんをお借りして美少女天使コラボSSをば。
フィアとソルティちゃんのこう言うおはなし、好きで…
相変わらず勝手に書いてしまって済みません;;
*attention*
・美少女天使コラボ
・料理ネタ?です
・ほのぼのです
・可愛い女の子ソルティちゃんが大好きです
・フィアはどっちかというと少年ポジションだと思いました(おい)
・相変わらずの妄想クオリティ
・ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKと言う方は追記からどうぞ!
「はぁあ……」
深々と溜息を吐く、金髪碧眼の少女。
退屈そうな表情。
人が少ない食堂の椅子に腰掛けて、外を眺めている。
ハードな任務を終えて休憩に来た騎士や、
時々掃除に来るメイドたちが話しかけてきたが、
それ以外はあまり面白いことも起きない。
彼女……ソルティの双子の片割れと"父親"はいつも通り医療部隊の講義で不在。
その上に、今日は外に出ることもできない。
つまらないなぁ、と呟いた時、食堂のドアが開いて、一人の騎士が入ってきた。
ソルティはそちらへ顔を向けて"あ"という顔をした。
入ってきたのはよく見知った顔。
時々一緒に話したりする、亜麻色の髪の騎士だった。
彼もソルティに気づくとすぐに"おや"という顔をした。
「こんにちは、ソルティ様」
「こんにちはー、フィアお兄ちゃん。お仕事終わったの?」
ソルティが問うと、彼は微笑んで頷いた。
そして首をかしげて、言う。
「退屈そうですね」
「うん……部屋の中だと出来ることも少ないから。
暑いからあんまり外に出てちゃダメって父上さまにも言われたし……」
「確かに、外にいることを勧められる天気ではありませんね」
フィアはそう言いつつ、窓の外に視線をやった。
今日もからりとよく晴れている。
夏の日光は強く中庭に照りつけていて、
白っぽい陽炎が立ち上っているように見える。
こんな中で訓練をすれば倒れる者が多数出ることは想定できているため、
医療部隊長であるジェイドが外での長時間訓練を禁じる程の気候だった。
そんな中で可愛い可愛い愛娘を遊ばせる程メンゲレは放任主義ではないだろう。
そしてそんな父親の言いつけを守っている彼女も偉いな、と思いつつ。
とはいえ、元々活発な性格の彼女にとってこの状況は退屈だろう。
遊び相手の双子の片割れもいないし、慕う父親もいない。
することもないし気を紛らす為に外に出ることもできない。
退屈そうに机に手を当てて溜息を吐く、ソルティ。
フィアはそんな彼女を見て少し考え込む顔をすると、
部屋の中で出来ることが何かあっただろうか、と考えた。
そしてふと思いついたことを口に出してみる。
「クッキーでも作ってメンゲレやアントレにあげたらどうでしょう?」
「え?」
そう、思いついたことはといえば、それ。
フィアは元々"少女らしい少女"だった。
外に出れば花を摘んだり歌を歌ったりして、
部屋にいるときには刺繍やダンスの練習をした。
そうした時間の過ごし方の中で殊更彼女が好きだったのは料理。
彼女の伯母……つまりルカの母親は元々城勤めの料理人だった。
それ故に料理が得意で、フィアもよく彼女に色々聞いていたのだ。
「でも、あたしあんまりやったことないよ?
それに、お料理出来るところあるの?」
ソルティは心配そうにそう尋ねる。
フィアは笑顔を浮かべると"大丈夫ですよ"といった。
「調理室はありますし、俺も一緒に作りますから」
「本当?」
ぱぁあっと顔を輝かせるソルティ。
その笑顔の可愛らしさにフィアは目を細める。
そして頷くと、"今は調理室も空いてると思いますから"とフィアはいう。
嬉しそうに笑うソルティの小さな手を引いて、調理室へ向かった。
***
そうしてふたりは調理室へ行く。
一応食事は城専属の料理人が作ってくれるのだが、
任務等の都合で極端に食事の時間がずれたりする時には自分で作ったりもする。
そう言う時に使うのが此処だ。
フィア自身も何度か此処を使っている。
ソルティには城のメイドに借りたエプロンを身につけさせ、
フィア自身もシンプルなカフェエプロンを付けていた。
無論、それを見につけているソルティが可愛いだの、
フィアのような騎士がエプロンをしているのが珍しいだのとひとしきり騒ぎになったが。
フィアは腕まくりをすると、ソルティに微笑みかけた。
「よし、じゃあやりましょうか」
「えっと……どうしたら良いの?フィアお兄ちゃん?」
作業台に届くようにおいた踏み台の上にのりながら、ソルティは訊ねる。
フィアは"そうですね"とつぶやいてから、量りを置く。
「じゃあ、まずは材料を量り取りましょうか」
「はい!」
一生懸命にめもりを覗き込みながら材料を量っていくソルティ。
フィアも菓子を作るのは久しぶりのため、かなりぎこちなくはあったが、
それでも少しずつ作業は進んでいく。
フィアに教えられたとおりにクッキーを作っていくソルティの綺麗な碧の瞳。
その一生懸命さが大切な人を思うが故に来るものだとフィアもわかっている。
粉を量りとって一息吐いたソルティは手の甲で軽く頬を拭う。
そんな彼女にフィアは声をかけた。
「ソルティ様」
「?なぁに?」
振り向いたソルティの金の髪には小麦粉が付いて白くなっている。
それを軽く漉いて、頬にも付いた小麦粉を拭ってから、フィアは彼女に問うた。
「ソルティ様はメンゲレやアントレのことが、好きですか?」
「うん!父上さまのこともアントレのことも大好きだよ!」
すぐに返って来る笑顔と明るい声。
フィアは微笑んだ。
予想通りの返答、反応。
その明るさ、本気で"家族"を思う彼女の言葉。
それが愛おしい。
自分が憧れた表情だった。
だからこそ、彼女のように可愛らしい素直な反応を愛おしいと思う。
「そうですか。じゃあ、アントレたちの為に頑張りましょうか」
「うん!」
明るく笑って、ソルティは生地を練る。
結構力がいる作業ですぐに疲れてしまうが、そこはフィアがサポートした。
型抜きはソルティが楽しそうにこなして、やっとのことで焼くところまできた。
「さて、あとはオーブンで焼くだけですね」
「わーできちゃった!」
無邪気に笑う、ソルティ。
フィアはそんな彼女を手伝いながら、オーブンにクッキーを入れる。
オーブンの蓋をしめて暫くすると、香ばしい香りが漂い始めた。
「父上さまとアントレ、喜んでくれるかなぁ?
父上さまのお菓子には絶対勝てないけど」
「ふふ、ソルティ様が作ってくれた、というだけで二人共喜びますよ」
「そうかな……だったら良いな!」
甘い香りを漂わせるオーブンを見つめるソルティ。
フィアはそんな彼女を見るとそっと席を立って、冷たい飲み物を用意しに行く。
お菓子を作るのもそこそこ体力を使うし、暑い。
そう思って用意をしてからソルティのもとへ戻る。
「ソルティ様、アイスティは……っと」
声をかけかけて、それを飲み込む。
ソルティは机に突っ伏して眠っていた。
おそらく、なれないことをして疲れたのだろう。
フィアはふっと笑うと、彼女の肩に上着をかける。
「焼きあがる頃にはアントレたちの講義も終わるだろう」
そう思いつつ自分も椅子を引いて座る。
フィアは幸せそうに寝息を立てているソルティの横顔を見ながら、
嬉しそうにクッキーを手渡すソルティの笑顔と、
それを受け取るメンゲレとアントレの表情を想像しつつ、目を細めた。
―― Let's cooking! ――
(全てはそう大切な人の為に)
("美味しいよ"って笑ってくれたら嬉しいな!)
2013-7-31 20:32