信号機トリオのお話です。
カナリスさんがライニさんのことを恋愛感情的に好き、という感じだったら…
というIFパロでお話を書いてしまいました…←
やりたいと思ってたネタですごめんなさい(おい)
*attention*
信号機トリオのお話です。
多分ほのぼのめなお話です
一応,IFパロ設定?です(普通にいつも通りな気もしますが…)
いつもよりやや距離近めなカナリスさんとライニさん
ライニさんに関しては少し子供っぽかったりするカナリスさんがかわいいです←
アネットは通常運転です(笑)
カナリスさんとアネットの喧嘩っぽい感じに戸惑うライニさんを書きたくて…←
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
良く晴れた日の、午後……
暖かな中庭では騎士たちが訓練をしている。
訓練を終えた騎士は食堂および休憩室で、
のんびりと談笑を楽しんでいた。
そんな、穏やかな時間……
短い赤髪の少年は任務を終えて、城に戻ってきたところ。
赤髪の彼……アネットは短い赤髪を揺らし、
長い廊下を走っていた。
その姿を見た統率官に叱られはしたが、
それでおとなしくなる様なアネットではない。
と、その時。
「……お」
アネットは前方に見つけた影に、小さく声を上げて、足を止めた。
彼の前方にいるのは、美しい金髪の少年。
愛しい、彼の姿。
その姿を見て、アネットはにっと赤い瞳を細めた。
そして、悪戯っ子のように笑うと、
ゆっくりと足音を忍ばせて、前方の少年に歩み寄っていく。
前方にいる彼……ハイドリヒは他人の気配に敏い。
ゆっくりいけばすぐに気づかれてしまうだろうと思いつつ、
アネットは気配を極力消して、尚且つ急いで走っていく。
そしてあと少し、というところでハイドリヒに飛びついた。
「ラインハルト!」
「っ!?」
大きな声で名を呼ばれ、そのまま飛びつかれたハイドリヒは、
流石に少し驚いたようだった。
振り向こうとしたようだったが……
バランスを崩して、そのまま崩れそうになる。
アネットもそんな彼を見て驚いたように目を見開いた。
慌てて支えようとするが、流石にうまくいかない。
転ぶ、ハイドリヒがそう思ったとき。
そんなハイドリヒの体を、誰かが支えた。
彼を支えたのは、短い黒髪の青年……カナリス。
彼は小さく息を吐き出すと、ハイドリヒに問いかけた。
「……大丈夫ですか、ライニ」
「あ、カナリス……」
ハイドリヒは幾度か瞬きをして、彼の名前を呼んだ。
ハイドリヒはこくり、と頷いて"大丈夫です"という。
カナリスは彼が無事そうなのを確認して小さく頷くと、
溜め息を吐き出してからアネットのほうを見た。
「まったく……
貴方は自分のスペック考えてますか?」
ガタイが良い貴方が華奢なハイドリヒを前触れなしに突き飛ばせば、
ハイドリヒが転ぶことはわかるだろう。
そういうカナリスは少し怒っている様子。
冷静であまり表情が表に出ないたちの彼ではあるが、
旧友であるハイドリヒのことが絡むと
話が別であることは良く分かっている。
カナリスもアネット同様に、
ハイドリヒのことは大切に思っているから……――
「う……ごめん」
アネットもハイドリヒに怪我をさせかけたのはわかっている。
だから、アネットも少し落ち込んだような顔をしていた。
カナリスはそれを見て、もう一度溜め息を吐き出す。
そして支えているハイドリヒの体を軽く抱き寄せた。
ハイドリヒは驚いたように青色の瞳を見開く。
カナリスは彼の身体を抱いたまま、アネットにいった。
「貴方のような乱暴者にはライニを任せておけませんよ」
「っちょ……カナリス……?」
離してください、とハイドリヒは言った。
流石に、カナリスに抱き留められていては、
少し……否、かなり恥ずかしい。
そして、アネットはそんなカナリスとハイドリヒの様子を見て、
キッと険しい表情を浮かべた。
そして、カナリスの腕に抱き留められているハイドリヒを取り返すように抱きしめた。
「ラインハルトに触んな!」
「っ、痛い……痛いですって、アネットさん」
戦闘職種のアネットはかなり腕の力が強い。
いきなり抱き留められては驚くし、
何より怒ったアネットが抱きしめる力は、かなり強い。
ハイドリヒにとっては少し痛いし、苦しい。
小さく悲鳴を上げたハイドリヒの声を聞いて、
カナリスはまた呆れた顔をした。
「ほら、言っているそばから……」
言わんこっちゃない、とカナリスはつぶやいた。
アネットはそんな彼を睨みつつ、ハイドリヒの体を抱き寄せた。
「手加減するもん!」
「既にできてないじゃないですか……
ライニが可哀想ですから離してください」
冷静な声色でカナリスはそういう。
アネットはべ、と舌を出して、
ハイドリヒをさらに強く抱きつつ、カナリスにいった。
「ヴィルのいう通りになんかしねぇよーだ!」
「あ、アネットさん、カナリス……
少し、落ち着いてください」
二人とも、とハイドリヒは珍しくやや困惑した表情を浮かべていた。
昔から良く知っているカナリスのことはもちろん、
彼に張り合っているアネットのこともよく知っている。
カナリスは普段からおとなしく冷静で、大人っぽい性格なのだが、
アネットに張り合っているときの彼は、如何せん少し幼く見える。
むきになっているというか、何というか……
ほら、今も。
ハイドリヒの体をきつく抱きしめたまま騒いでいるアネットに、
冷静に……でも確かな棘を含んだ言葉で返答している彼。
どうやら、ヒートアップしているらしい。
カナリスは小さく溜め息を吐き出すと、アネットに言った。
「ライニにあんまり無理をさせるようなら
僕が無理矢理カルフィナに連れ帰りますけどね」
そんな彼の言葉にアネットは驚いたように大きく目を見開いた。
そして、暫し返答に悩むような表情をした後……
「!!ふざけんな!行くぞ、ラインハルトっ!」
恐らく、うまい返答が見つからなかったのだろう。
アネットは腕っぷしこそ強いが、口喧嘩では負ける。
アネットはそう叫ぶや否や、やや強引にハイドリヒの手を引いて、
その場をはなれていった。
その背中を見送るカナリスは再び溜め息を吐き出す。
「言ってる傍から扱い雑じゃありませんか……まったく」
そう呟くカナリスは呆れたようでありながら、何処か悔しげだ。
アネットに抱きしめられたり、腕を強く引っ張られているハイドリヒが、
迷惑そうというよりは嬉しそうだから。
彼が幸せならば何よりと思う一方で……
やはり、悔しい。
昔から傍にいたのは、自分なのに。
そう思うから。
「……まったく」
そう呟いたカナリスは小さく肩を竦めて、
自分の部屋に向かって歩いて行ったのだった。
***
「ちょ、っと……痛い、痛いですって、アネットさん……!」
ハイドリヒは自分の腕を引っ張るアネットにそう抗議した。
さっきからずっとアネットに腕を引っ張られている。
流石に、痛い。
ハイドリヒがそういうと、アネットは不意に足を止めた。
今度はそれがおかしくなり、
ハイドリヒはアネットの背中にぶつかる形となる。
「っ!アネット、さん……
急に止まるのも、やめてくださ……」
ハイドリヒがそういうと同時。
アネットはハイドリヒの体をぎゅっと抱きしめた。
さっき、カナリスの前でそうした時より、ずっと強く。
「っ……アネット、さ……?」
「ラインハルト……帰ったり、しない……よな」
アネットはハイドリヒの華奢な体を抱きしめたまま、そういった。
ハイドリヒはその言葉に大きく目を見開く。
そして、彼がこんな行動に出ている原因を、理解した。
ついさっきのカナリスの言葉……
それを、引きずっているのだろう。
ハイドリヒは小さく溜め息を吐き出して、言った。
「……帰りませんよ。
私だって、遊びでこの国に来ているわけではないのですから」
仕事で此処にいるのだから、帰るわけにもいかないと、
ハイドリヒはややそっけなくアネットにそう返答した。
「……でも、ラインハルト……
ヴィルが言ったら、一緒に帰っちゃいそう」
アネットはそういって、ぎゅっとハイドリヒの服を掴んだ。
そして、ハイドリヒの顔を見た。
自分より少し位置が低い、アネットの姿。
鮮やかな、赤色の瞳。
それを見つめ返して、ハイドリヒはいう。
「……帰りませんよ、たぶん」
余程のことがなければ、とハイドリヒはいった。
アネットはそれでもやはり不安そうな顔をしている。
そして、小さく溜め息を吐き出しつつ、言った。
「……よほどのことって、なんだよ……」
「ん……それは、まあ……仕事の、都合とか」
ハイドリヒはそう呟くように言った。
アネットはそんな彼の言葉を聞いて、顔を顰める。
そして、もう一度アネットの体を強く抱きしめた。
「……ラインハルトとヴィルは、昔から……
一緒だったんだろ?」
「え?えぇ……」
唐突なアネットの問いかけに、ハイドリヒは戸惑いつつ答える。
その返答に、アネットはまた眉を下げた。
「……だから、不安なんだよ」
「え?」
「……ヴィルのほうが、ラインハルトのこと、良く知ってるから。
だから、ラインハルトもヴィルのことよく知ってるだろ?
それに、二人の仕事も似てるし……
だから、ヴィルが一緒に帰ろうって言ったら帰っちゃいそうで」
だから、不安なんだ、とアネットはいう。
ハイドリヒはそんな彼の言葉を聞くと、
小さく溜め息を吐き出して、アネットの頭を小突いた。
「馬鹿なことを言い出すんですから……」
「……っだって」
不安なもんは不安なんだよ。
アネットはそういいながら、ハイドリヒの首筋にキスをする。
ぴくりと体を強張らせるハイドリヒに、
アネットは、呟くように"大好きだよ"といった。
ハイドリヒはその言葉を聞いて、溜め息を吐き出した。
呆れるほどに何度も聞いた、彼の言葉。
不安になればなるほど、彼はそういうのが癖らしい。
まったく困った人ですね、と呟きつつ、
ハイドリヒは軽くアネットの背に腕を回してやったのだった。
―― Time and distance ――
(貴方が彼を思うように、僕も彼を思っている。
昔からずっと傍にいた、大切な友人なのですから)
(昔お前とアイツが一緒にいた時間に俺が割り込むことは出来ないから。
それが不安で、不安で…負けたくないって、そう思うんだ)
2014-4-29 21:31