西さんとメイアンのお話です。
怖い夢を見て怯えてる西さんを書きたくて…←
*attention*
西さんとメイアンのお話です
シリアスなお話デス
本家Laurentia!(学パロ)設定でのお話です
怖い夢を見て怯えている西さん書きたくて…
メイアンは一生懸命慰めると思います
そして怯えてたことさえ忘れてるのとかもいいかなって…
メイアンに無意識に甘える西さん可愛いと思うのです
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
広い、広い屋敷。
そこに一人で佇む、黒髪の少年……西。
彼は周囲を見渡した。
「……?メイアン?」
人の気配を感じない、屋敷。
それを怪訝に思いながら彼は足を踏み出した。
いつもならば彼は……恋人であるメイアンはこの屋敷に来てくれている。
それなのに、彼の姿がない。
それは奇妙な事だった。
「メイアン、何処に居るんだ?」
キッチンにもいない。
リビングにもいない。
シャワーでも浴びているのかもしれないと思ったが、彼はそこにもいない。
一体、何処にいってしまったのか。
そう思いながら、西は顔を歪めた。
「家に、居るのか……?」
帰ってしまったのだろうか。
そう思って電話をかけるが出そうにない。
一体どういうことなのか。
「メイアン……」
掠れた声で彼の名を呼びながら、その場に座り込む。
ひゅ、と小さく息が漏れた。
一体どうして。
ここ最近この広い屋敷に自分が一人きりになることなんて、めったになかったのに。
俯いている間に、頭に響いてくる声。
それは幼い頃に聞いた、自分への罵倒。
お前がこの家をおかしくした。
お前がいたから……
そんな、声。
嘲笑。
罵倒。
気づかないフリをして一人でこの広い屋敷にいた。
それで良いと思っていた。
寂しくなんかない。
必死に自分にそういいきかせて。
親の愛情なんて知らない。
友人なんて、居ない。
しかしそれも変わった。
彼に出会い、彼がこの家に来るようになってから……――
誰かが此処にいる。
否、彼が此処にいる。
それが当たりまえになったから。
だからこそ。
独りきりになるのが怖かった。
「何処に……」
―― 何処に居るんだよ。
掠れた声でそう呟くのと同時。
ふ、と意識が浮上した……
***
はっと、目を覚ます。
ベッドに飛び起き、周囲を見渡した。
記憶が混乱する。
さっきのは、何だった?
誰もいなかった、この屋敷……――
「西?」
不意に聞こえた声。
それに西は顔を上げた。
揺れる視界。
そこに映ったのは、金髪の彼……メイアンで。
「メイアン……」
掠れた声で西は彼の名を呼ぶ。
一緒にベッドに寝ていた西が急に飛び起きたのだから、驚くに決まっていた。
しかも……
西は酷く怯えたような顔をして、自分を見つめているのだから。
「西?どうしたの、一体……」
そう問いかけるのと同時。
西はぎゅ、とメイアンの服を掴んだ。
そんな彼の行動にメイアンは驚いたような顔をする。
目を丸くして固まった彼に縋りながら、西は掠れた声で呟くように言った。
「やだ……いかないで……おいてかないで……独りにしないで」
カタカタと小さく体を震わせながらそう言う西。
メイアンは彼の言葉に少し驚いたような顔をした。
それから自分の体にしがみついて震える恋人の肩に手を置いた。
「西……?」
どうしたの?
一体何が起きたの?
寝起きのメイアンんは理解出来ていなかった。
西はメイアンにしがみついたまま、震える。
怯えたようにいやいやと首を振りながら、いった。
「いやだ……独りは、嫌……」
独りは嫌だ。
独りは怖い。
西は怯えたような声を上げる。
メイアンはそんな彼を見て、緑の瞳を細めた。
まるで悪夢にうなされた子供のような声、表情。
そんな彼をメイアンはそっと抱きしめる。
「大丈夫よ、私は此処にいるわ」
そうおだやかな声で言う。
彼を安心させようとするように。
しかし、西の体の震えは止まらない。
掠れた吐息を漏らしながら、彼は怯えた表情をうかべ続ける。
メイアンはそんな彼を見て顔を歪めた。
どれほど恐ろしい夢を見たのか。
どれだけ怯えているのか、と。
―― 昔は。
きっと、怖い夢を見ても誰にもこうして抱きしめてはもらえなかっただろう。
苦しむことも多かっただろうに。
メイアンはそう思いながら、西をぎゅっと抱きしめる。
「西……」
震える西を抱きしめて、メイアンは優しく彼の名を呼ぶ。
背を優しく撫でてやりながら、彼は穏やかな声でいった。
「大丈夫、大丈夫。
ゆっくり、ゆっくり息して……ね?」
大丈夫。
大丈夫よ。
私がちゃんと傍にいてあげるから。
メイアンは西の体の震えがおさまるまで、優しく彼の体を抱きしめてやっていた。
大丈夫よ、と何度も何度も声をかけてやりながら……――
やっとのことで、西は泣き疲れて眠ってしまった。
すぅすぅ、と寝息をたてる彼。
それを見つめて、メイアンは目を細める。
「やっと……落ち着いた、みたいね」
漸く眠りについた彼。
まだその頬には涙の痕が残っていた。
「そんなに怖い夢を見たのね……」
よしよし、と彼は優しく西の頭を撫でる。
そして彼の隣で眠りについたのだった。
***
そんな、翌朝。
「ん……」
西はぱち、と目をあけた。
ゆっくりと、瞬きをする。
もう既に、隣で寝ていたメイアンは起きたようで、姿がなかった。
「ん……目痛ぇ……」
西は小さく呟く。
ごし、と目をこする。
目が、痛かった。
しかし……
その原因が、西にはわからず。
昨日の……あの夢も、あの後のことも、覚えていなかった。
どうしてこんなに目が痛いのか、と思うだけで……――
とりあえず起きよう。
そう思いながら西はキッチンに向かった。
良い香りがする。
朝食を作る音がする。
「メイアン……?」
「あら、起きたの西?」
メイアンは首を傾げる。
大丈夫?と問いかけてくる彼に、西はきょとんとした顔をした。
「大丈夫?何がだ?」
「……覚えてないの?」
そう問いかけるメイアン。
西はきょとんとした顔をする。
「どうしたって……別に?」
そう首を傾げる西。
メイアンはそれを見て幾度か瞬きをした。
それからふっと息を吐き出す。
覚えていない。
そう、感じ取った。
「……ううん、良いの、何でもないわ。
朝ご飯にしましょう?」
今日は上手に卵焼き出来たの、と嬉しそうに笑うメイアン。
西はその表情を見て、何処かほっとしたように表情を緩めたのだった。
―― 抑制した本心 ――
(きっとあれはいつも抑制している貴方の本心。
何処にもいかないで、独りは嫌だと怯えるその声…)
(いつの間にかこの景色が当たりまえになっていて…
壊れることを、きっと俺は何より恐れてる)
2015-4-29 13:50