シャニマス七百二十四日目。
錯覚・Darlingで第三シーズン。
無料十連でキャッチ・ザ・フォール!が三凸しました。
「うぅ……」
ミーナが小さく呻き、ケトルは今まで何を考えていたかも忘れて彼女の顔を覗き込んだ。
「大丈夫!? どこか痛い!?」
しばらく口元に手を翳し、脈を測った後、少し遅れて思い至る。
「……ひょっとして、石畳が硬くて寝にくい、とか?」
気絶しているミーナから返事があるはずもないが、ケトルは一人でうんうんと頷いた。そして、
「……どうやって運ぶんだ?」
愕然と呟く。
そこに、
「手伝おう、か?」
斧使いの巨漢が声を掛けてくる。その背後から双剣使いが顔を出した。
「兄貴は子供には優しいからヨー」
双剣使いが口を尖らせると、斧使いがその頭をぐしゃぐしゃと乱暴に撫でまわした。
「まだ濡れて、いる、な」
ケトルは斧使いを見上げた。敵意の有無や真意などを読み取ろうとして、止めた。
「ベッドのあるところはある? あんだけ魔術師や傭兵がいたんだ、宿泊設備くらいあるはずだよな?」
双剣使いが面白そうに目を口角を上げた。
「オレらの寝泊まりしてたトコより魔術師達の寝床の方が近いヨー」
「彼女の衣類や、靴は、あそこの木箱にまとめられて、いた」
「じゃあそれはおれが持つから、ミーナは頼む」
斧使いがテロルのマントにミーナを包み直し、横抱きにする。繊細な細工を取り扱うかのような、巨体に似合わぬ丁寧な所作だった。
「いい、のか?」
「だっておれじゃ肩に担ぐしかできないと思うから。それに、正直おれらに何かするならとっくにしているだろう?」
「ヤァハー」
双剣使いと斧使いが互いに目配せをした。
「平たく言うと、詫び、だな。エラムに加担した、ことの」
広間を出て通路を歩きながら、ぼそりと男が言う。
「こんなことで詫びに、なるとは思わない、が」
ケトルは口をへの字に曲げた。
「もう終わったからいいよ。ようするに、これで貸し借り無しってことだろう?」
「そう、だな」
ケトルは後から付いて来るテロルに振り向く。
「テロルはどう思う?」
「正直雇われた人間にいちいち反応してらんないわね。あんた達が思う所あんなら、今度あたし達に会った時に返してくれればいいわよ」
「そう、か」
斧使いが首肯すると、テロルはニヤリと笑った。
「言ったわね? 言・っ・た・わ・ね? 見てなさい、あたしのタカリっぷりは凄いわよ本当に……!」
「自分で言うのかヨー!」
「どうやら、選択を早まった、ようだ」