ハロウィンネタでのお話です。
ナハトさんのハロウィンイラストを見ててやりたくなったお話でした…♪
この三人での絡み好きです←
*attention*
ワルキューレコンビ&ペルのお話です
ほのぼのなお話です
ハロウィンネタです
仮装してGO!なお話です←おい
ナハトさんのイラスト&ナハトさんとのやり取りで書きたくなったネタです(^q^)
ヘフテンさんに乗せられて参加する大佐殿だったら可愛いなって←
そしてペルはたまに祖国の言葉が出たら可愛いってナハトさんとのやり取りで思いました←おい
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
秋の終わり。
冬の空気を感じる朝。
その割昼の陽射しは暖かい。
そんな日の、穏やかな空気。
柔らかい風。
それを感じながら、長い黒髪の少年……ペルは友人の部屋に居た。
普段一緒に居るシュペーアの部屋ではない。
時々一緒に居てくれる、遊んでくれる二人の内の片方……シュタウフェンベルクの部屋。
そこにペルは来ていた。
同じ部屋には部屋の主であるシュタウフェンベルクと、彼の副官であるヘフテンがいる。
シュタウフェンベルクはややむくれたような、困ったような顔をしてベッドに腰掛けている。
そんな彼と同じベッドの上に立膝で座っているのは金髪の少年、ヘフテン。
彼はにこにこと笑いながら、何やら楽しそうに作業をしていた。
「おい、ヘフテン……本気か」
シュタウフェンベルクはヘフテンにそう問いかける。
本気か、というのは現在のヘフテンの行動。
彼はシュタウフェンベルクの左目の周りにぐるぐると包帯を巻いている。
寝るときには眼帯でなくこういう恰好をしているシュタウフェンベルクだが、
まだ日は高く、眠るような時間ではない。
それなのに何でこんな恰好をしているのかといえば……
「幾ら仕事がないからといって、こんな……子供でもあるまいし」
シュタウフェンベルクは困惑気味に呟く。
彼が身に着けている服も、普段着ている軍服ではない。
彼が社交界に行くときのような、服装だ。
要するに正装。
別に、そういった任務があるわけではない。
先刻シュタウフェンベルクが言った通り、今日彼らはオフだ。
何処に出掛ける仕事も無い。
要するに仕事関係ではない。
ついでに言うのであれば……
現在のヘフテン、およびペルの格好もいつものそれと違う。
ヘフテンは黒とオレンジを基調とした服。
ペルの服はいつもの服と似ているといえば似ているけれど……ワンピースにケープといういでだちだ。
「だって大佐、ハロウィンですよ?
折角のこういう機会なんですし、仮装しないと」
ヘフテンはシュタウフェンベルクの目の周りに巻いた包帯をきゅっと結びながら、言った。
キツクないですか?と気遣う彼の言葉に小さく頷きながら、シュタウフェンベルクは溜め息を吐き出す。
そして呟くように言った。
「仮装なんて……するような年でもないのだが」
そういいつつ彼は自分の服を軽く引っ張った。
そんな彼を見つめて、ヘフテンは言った。
「良いじゃないですか!
こういうイベントあんまりしたことないペルさんのためですし!」
ね?といいながらヘフテンはペルの方を見る。
とても明るい笑顔だ。
元々ヘフテンは明るい気質ではあるけれども。
そんな彼の言葉にペルはこっくりと頷いた。
「楽しみ……
はろうぃん、僕、あんまり、したこと、ない」
お菓子もらえる?とペルは呟くように言う。
その声色は、少し期待したようなもので……
やはり彼も子供なのだな、とヘフテンは小さく笑う。
そしてシュタウフェンベルクの方を見て、首を傾げた。
「ね?折角なんだから三人でやりましょうよ」
大佐だけやらないんじゃつまんないですよぅ、とヘフテンは言う。
シュタウフェンベルクは少し困ったようにペルを見た。
ペルは長身の彼の事をじっと見つめている。
その視線にシュタウフェンベルクは小さく溜め息を吐き出した。
「……一日だけ、だからな」
「当たり前ですよ!」
ヘフテンは嬉しそうに笑って、シュタウフェンベルクに言う。
そしてペルの方を見て"良かったですねペルさん!"と声をかける。
ペルはこくこくと頷いて……長い袖からちまっと手を出した。
それを、シュタウフェンベルクの方へ向ける。
やや驚いた表情をするシュタウフェンベルク。
そんな彼に、ペルは言う。
「とり、っく……おあ、とりーと」
覚えたばかりの言葉。
それを口に出す彼を見てシュタウフェンベルクは瞬きをする。
そして、彼はふっと表情を緩めると机の上に置いてあったらしいキャンディを彼に渡した。
「……ハッピーハロウィン」
ぼそり、と返す彼。
それを見てヘフテンは目を見開いた。
「えっ、大佐用意してたんですか!?」
ヘフテンが少し驚いた声を上げる。
シュタウフェンベルクはそんな彼を見て小さく咳払いをすると、呟くように言った。
「……お前がそういうイベント好きであることは良く知っているからな……念のため、だ」
悪戯などされては困る。
シュタウフェンベルクのそんな表情と言葉にヘフテンは瞬きをする。
そして見る見るうちに明るい笑みを浮かべた。
「ふふっ、ありがとうございます、大佐」
どちらかといえば、自分へのものだったのか。
そう思うと、何だかうれしい。
少し照れくさくて、嬉しい。
ありがとうございます。
そういいながらヘフテンは彼に手を差し出す。
再び少し驚いた表情のシュタウフェンベルク。
彼に向かってヘフテンは言った。
「トリックオアトリートです大佐!」
良い笑顔でそういう彼。
それを見てシュタウフェンベルクは幾度か青い瞳を瞬かせた後、小さく笑みを浮かべたのだった。
***
そんな恰好をして三人は城の中に繰り出した。
浮くかと思ったが……はしゃいだ幼い騎士がいて、
彼らも仮装のようなものをしているためにそこまで目立たない。
最も……
シュタウフェンベルクが仮装(とはいえ正装&眼帯を包帯に変えただけだが)をしているのは珍しいようで、
彼はやや居心地悪そうにしていたけれど。
ペルは相変わらずの無表情なものの、心の奥では色々と盛り上がっているようで、
漆黒の瞳をきょろきょろとあちこちにめぐらせている。
自分たちのように仮装をしている騎士たち。
それを見るのも面白いのだろう。
そうして歩いていった三人は食堂にたどりついた。
朝食の時間は過ぎていて、もう殆ど騎士は散っているけれど……
「あ」
ペルが小さく声を洩らした。
そしてぱたぱたと走り出す。
その様子を見て、シュタウフェンベルクとヘフテンは一瞬きょとんとしたが、
やがてその理由にあぁ、と納得したような顔をした。
彼が駆け寄っていった先。
そこに居たのは長い浅緑色の髪の少年……スターリンだった。
北方出身の騎士。
同じく北方の騎士であるスターリンには親近感を持っているのかもしれない。
本来喋っているであろう言葉も同じのはずだし……
そう思いつつシュタウフェンベルクとヘフテンはペルに歩み寄っていった。
「ん?ペル?」
スターリンは近づいてきたペルを見て瞬きをする。
そして彼が着ている服を見て小さく笑った。
「ハロウィンか……」
どう見ても女物だけどな、と思いながらもスターリンはペルを見る。
ペルは彼に小さな手を差し出しながら、いう。
「とりっくおあ、とりーと……
お菓子くれないと、悪戯……するよ?」
そういってペルはじっとスターリンを見る。
スターリンはそんな彼を見る。
そして彼の後ろに居るヘフテンとシュタウフェンベルクを見た。
ヘフテンもペルに合わせて"トリックオアトリート!"なんて言っているし、
シュタウフェンベルクも小さく頷いている。
彼に関してはやや羞恥を含んだ表情で、だけれど。
スターリンはそんな彼らを見て少し面白がるように口角を上げた。
そしてペルにいう。
「菓子らしい菓子は持ってないのだよ……
ピロシキはあるぞ?」
食べるか?とスターリンは言う。
ペルはこくんと小さく頷いた。
そんな彼に彼の国の料理であるそれを手渡せばペルは手にそれをもっていう。
「……すぱすぃーば」
彼の、スターリンの国の言葉での"ありがとう"。
反射的に出たのかスターリンに対してだからかは不明だが、
やや照れ臭そうな、嬉しそうな声でのそれはなかなか愛嬌がある。
……表情は相変わらずだけれど。
「お前らも、ウォッカならあるのだよ?」
「いや……遠慮しておこう」
シュタウフェンベルクはそう返す。
まだ朝だし何より自分たちは未成年。
ついでに言うのならば、ウォッカはかなり度数の高い酒だ。
ちょっとどうだ、といわれて飲むようなものではない。
その反応はスターリンも予想していたのだろう。
くっくっと楽しそうに笑いながら"冗談なのだよ"という。
「まぁ、お前らは菓子がほしいってわけでもねぇだろうけど……
食いてぇってんなら後から適当になんか食堂でとってきてやるのだよ」
そんなことを言う彼にシュタウフェンベルクは苦笑する。
ヘフテンはそんなシュタウフェンベルクに絡みつきつつ"僕は別に良いですよ"という。
「どっちかっていうと大佐とこういう恰好出来るのが楽しいだけですから」
ね、といいながらヘフテンはシュタウフェンベルクに微笑みかける。
シュタウフェンベルクは少し視線をそらしつつも、
"まぁ、たまには、悪くないかもな"と呟いている。
「……僕も、楽しい」
ペルも横でそういう。
スターリンはそんな彼の口元をぐいっと拭ってやりつつ、"そりゃ良かったのだよ"という。
「ま、俺も面白いもん見れたし……」
たまにはこういうイベントも悪くないかもな。
スターリンはそう呟きつつ琥珀色の瞳を細めたのだった。
―― お菓子より悪戯より…? ――
(欲しいのはお菓子でも悪戯でもない。
貴方と、可愛い友人と一緒に居られる時間なのかもしれない)
(はしゃぐのは私らしくはないと思う。
でも…たまには、こういうのも悪くないかもしれないなと思ったりして…)