ショタ大佐殿とエビルのお話です。
エビルは体質上こうなっても仕方ないかな、と…
それでも優しい大佐殿が可愛いです←
*attention*
ショタ大佐殿とエビルの話です
ほのぼのなお話です
ちらっと若干深夜テンション?
エビルは淫魔なので…
ちゅーするくらいで抑えようとするとは思います(笑)
そんなエビルにも優しい大佐殿可愛いなと←
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
綺麗な月。
それを見上げながら、金の瞳の悪魔は小さく息を吐き出す。
長い髪が風もないのに、揺れていた。
彼はそっと自分の首筋を擦る。
そうすることで、彼は自分の体から湧き上がる"感覚"を押し殺そうとしていたのだった。
彼は、淫魔だ。
人間の精力を吸うことが彼にとって"食事"である。
普通の食事をとりもするけれど、人間の精力を吸うことで体の調子を保っているのだ。
最近は、いつもシュタウフェンベルクとそういう行為をして精力を吸っていたのだけれど……
流石に、幼い姿になってしまった彼に、そんなことをするわけには行かない。
その程度の理性はあった。
そもそもの話、だ。
子供は大人よりも体が小さい。
そんな子供から精力を吸うのは、褒められた行為ではなかった。
吸血鬼も子供の血を吸うことはしない。
それと同じことだ。
とはいえ、である。
「流石に一週間弱何もしない、はキツいな……」
そう呟いて、エビルは溜息を吐き出した。
流石に、体が辛くなってきた。
このままだと理性どころではなくて、傍にいるシュタウフェンベルク……今は、ミクローシュと呼んでいる彼を襲ってしまいそうなのだ。
とりあえず、外に行こう。
娼館ででも、"飢え"を満たせばいい。
正直、シュタウフェンベルクの精力以外を求めなくなりつつあるけれど、何も食べないよりはマシなのだ。
そう思いながら、エビルはドアに向かおうとした。
と、その時。
きゅ、と服を掴まれた。
無論彼の腕を掴んで来たのは、エビルが腰かけていたベッドに眠っていた少年……シュタウフェンベルクで。
「……エヴィ?」
目を覚ましたらしい。
半分寝ぼけたような表情で、エビルの服を掴んでいる。
不安げな声で名前を呼ばれて、エビルは苦笑を漏らした。
「っ、あー、起こしたか、ごめん」
そういいながら、エビルはシュタウフェンベルクの頭を優しく撫でて、立ち上がろうとする。
かなり、体がキツかった。
しかし、はなれようとするエビルを見て、シュタウフェンベルクは更に不安げな顔をする。
そして、弱弱しい声で彼はエビルを呼んだ。
「何処行くの、エヴィ……?」
きゅ、と彼の服を引くシュタウフェンベルク。
エビルは彼の言葉に少し迷うように視線をゆるがせた。
それから、ふぅと息を吐き出して、言う。
「ん、ちょっと、腹減ってな……夜食食いに行こうと」
そう、誤魔化した。
嘘ではない。
"食事"に行こうと思っているのは事実だ。
……ちょっと、その食事の内容が違うだけで。
案の定、シュタウフェンベルクは怪訝そうな顔をした。
そして首を傾げながら、言う。
「?ごはん……さっき食べた、よね」
さっき一緒に夕飯を食べたばかりだ。
シュタウフェンベルクはそういって、エビルは言葉に詰まる。
う、と小さく呻いて視線を揺らすエビルを見て、シュタウフェンベルクは泣き出しそうな顔をしつつ、彼の服を引っ張った。
「嫌だよ……でてったら、嫌」
出ていったら嫌だ。
エビルに縋り付きながら、彼はそう言う。
「あー……」
そうだな、さっき食ったよなぁ。
エビルはそうつぶやく。
シュタウフェンベルクはそんな彼の腕をしっかりと握りしめたまま、いった。
「あ、そうだ……僕、夜食、作ってあげる……よ?」
そうしたら、外に食べに行かなくてもいいよね。
シュタウフェンベルクはそういう。
それを聞いて、エビルは少し視線を揺らす。
それから、小さく笑ってシュタウフェンベルクに向かって首を傾げた。
「……有り難う、じゃあそうしてもらうかな。
俺も一緒に作るよ、ミクローシュ」
「うん、一緒に作ろう?」
嬉しそうにそういって立ち上がるシュタウフェンベルク。
彼と一緒にキッチンに向かいながら、エビルは小さく息を吐き出したのだった。
***
それから、どれくらいした時の事だろう。
そっと、体を揺らされる感覚でエビルは目を覚ました。
自分を呼ぶ心配そうな声と、優しく、でも強く体を揺らされる感覚。
「……ヴィ、エヴィ……っ」
必死に自分を呼ぶ声にエビルは目を開けた。
ゆっくりと瞬きをすると、心配そうな顔をしているシュタウフェンベルクと目が合った。
「う……ん」
声を漏らすが、体に力が入らない。
声も掠れた声しか出なくて、一体どうしたことかとエビルは顔を歪める。
「エヴィ、どうしたの、具合悪い……?」
心配そうに問いかけてくるシュタウフェンベルク。
エビルはゆっくりと瞬きをしながら、彼を見上げる。
そして自分の体が言うことを聞かない原因を考えて……
「……あー」
小さく、声を漏らした。
原因は、わかり切っている。
暫く精力を吸う行為をしなかったからだ。
体の方が、ダメージを受けてきているのだろう。
「どうしたらいい、お医者様、呼ぶ……?」
シュタウフェンベルクはエビルに縋り付きながら、一生懸命に彼を呼んでいる。
エビルは少し迷うように視線を揺らした後、小さく息を吐き出して、言った。
「……あのな、ミクローシュ。
俺は、普通の人間じゃねぇんだよ」
「え……?」
彼の言葉に不思議そうな顔をして瞬きをするシュタウフェンベルク。
それを聞いて、エビルは呟くような声で言った。
「俺は、淫魔って言うんだ。
人間の……精力、っていってな。
まぁ、体にある力を吸って生きてる生き物なんだよ。
でも最近はそれが出来なかったから、ちょっと体が……な」
かなり婉曲、或いは言ってもわからないだろうという事を、彼に伝えた。
それを聞いたシュタウフェンベルクはやはり少しきょとんとした顔をしたが、やがて"それなら……"と呟くような声で言った。
「それなら、僕のを吸っていいよ……」
「え?」
思わぬ言葉にエビルは目を見開く。
しかしシュタウフェンベルクの表情は真剣そのものだった。
"精力を吸う"の意味が分かっていたかはわからないけれど……
彼は、自分のを吸えばいい、と言っていた。
「……あのなぁ、ミクローシュ……」
「良いよ……だって、苦しいんでしょうエヴィ……」
苦しそうなエヴィ見たくないよ。
だから、良いよ。
シュタウフェンベルクはそういった。
エビルはそれを聞いて少し迷う顔をする。
それから彼は小さく息を吐き出して……
「わ……!?」
シュタウフェンベルクが声を上げる。
そんな彼に覆いかぶさる、エビルの体。
驚いて目を見開くシュタウフェンベルクの唇を、エビルが奪った。
「んぅっ、ん……っふ……はぁ……」
彼がキスをやめると、小さく息を吐き出すシュタウフェンベルク。
少しとろんとした表情で、エビルをみあげる彼の頬をなでて、エビルは言った。
「……悪い、本当に……」
もう、限界なんだ。
そういいながら、エビルはシュタウフェンベルクにキスをする。
必死に、それだけでとどめるように。
「んぅっ、ん……っはぁ、エヴィ……エヴィ、待って……」
苦しい、と声を上げるシュタウフェンベルク。
エビルはそんな彼の言葉に、キスを止めた。
「は……悪い、ほんとに……」
ごめんな、とエビルはシュタウフェンベルクに詫びる。
もう、だいぶ体は落ち着いてきた。
必死に魔力を抑えたから、おそらく自分の体液を受け入れたために起こる媚薬効果も大分抑えられているだろう。
それでも彼を食い物にしてしまったことに違いはない。
だから、エビルは彼に詫びた。
「……ごめん」
これじゃあアンタをこんな姿にした人間と同類だな。
そう呟いて自嘲気味の表情を浮かべるエビル。
シュタウフェンベルクは少し荒くなった息を吐き出しながら、ふっと微笑んだ。
そして優しくエビルの頬に触れながら、言う。
「いいよ……だって……エヴィ、ちゅうするのは、あいのあかしだ、って……兄さんたちが、言ってたもん」
大丈夫。
そういって微笑む彼。
―― まったく、此奴は……
エビルはそんな彼の頭を優しく撫でて、目を細めていたのだった。
―― Sweet kiss… ――
(甘い、甘いキス。
それは体の飢えを押さえるためのものではあったけれど…)
(彼のやさしさと甘い微笑み。
それに心まで満たされたのは、事実で)