真選組にとって年末年始は、隊士総動員であちこちの警備に駆り出される一年で最も忙しい時期。
副長の土方十四郎とて例外ではない。
12月24日、クリスマスイブのこの日も土方は一日外回りをしていた。
(チッ、どいつもこいつも浮かれやがって。俺だって仕事がなきゃアイツと…)
クリスマスの飾りやイルミネーションに彩られた見慣れたはずの風景や、楽しげに街行く恋人達を横目に、そんなことをつぶやきながら。
仕事を終え、夜更けにやっと屯所に戻ってきた土方が自室の戸を開けると、今朝片付けたはずの布団を被り何物かが眠っていた。
「誰だッ」
「…ふぁ〜…あっ土方くんおかえり」
あくび混じりで布団から上半身を起こしたのは、真っ赤なサンタクロースの衣装に身を包み、ご丁寧に帽子と真っ白な顎髭までつけた銀時だった。
「テメっ、おかえりじゃねーよ!人の部屋で何してんだ、つかなんだその格好?」
「あぁコレね、今日この衣装でクリスマスケーキ売るバイトしてたんだよ。
そんで、売れ残りのケーキ貰ったから一緒に食べようと思って来たんだけどなかなか帰ってこねぇからつい寝ちゃったんだよね〜」
よく見ると机の上には確かに四角い箱が置かれていた。
「ついじゃねぇだろ、わざわざ布団まで敷いて寝る気満々じゃねーか!ったく…」
「んな怒んなって。いつも頑張ってる十四郎くんに銀サン太からお前の欲しいもんプレゼントしてあげるからさ」
「欲しいもんってそんなの分かんのか」
「もちろん。銀サン太にはお見通しなんだよ。お前が今一番欲しいのは
ズバリ『俺からの愛』、どうだ正解だろ?」
「いや、残念ながら外れだ。それは受け取れねぇな」
土方の言葉にえぇっなんで!?とショックを受けた様子の銀時に土方は続けた。
「せっかくだが俺はサンタからプレゼント貰えるようないい子じゃねぇし、そんな義理もねぇ」
土方は銀時の傍にしゃがみこむと口元の付け髭を引き剥がし、真っ赤な帽子を脱がせた。
そして帽子の中でぺたんこになってしまった銀色の髪をくしゃくしゃとかき混ぜた土方の手が、いつもの姿に戻った銀時の頬にそっと触れる。
「そのプレゼントはサンタじゃなくてお前からくれよ…銀時」
「土方…冷たい手だな…」
銀時は土方の手に自分の手を重ねた。
「あぁ今日は一日中外にいたからな」
「ほら早くこっちこいよ、望み通り銀さんの愛で暖めたげるから。そのかわり熱すぎて火傷してもしらねぇぞ」
「…フン、望むところだ」
土方は嬉しそうに銀時の体温で心地よく暖まった布団に潜り込んだ…。
机の上に忘れ去られたクリスマスケーキよりも甘く、
いつの間にか外の景色を白く染め始めた雪も溶けるほど熱い聖夜を二人で…
Merry X'mas to GH & YOU !!