京都のゼルフェノア支部では囃(はやし)がトレーニング中。そこに突如、アラートが。

「なんだよ〜。今度はこっちに怪人か」
囃はトレーニングルームを出て司令室へと向かう。


ゼルフェノア支部・司令室。支部の主要隊員達が集められた。小田原司令は隊員達に状況を説明。

「囃が主導となり、この強化戦闘員を撃破しろ。なぜ、京都近郊にメギドが出現したのかはわからないが…」

「了解しました」


囃達数人は現場へと向かう。



京都近郊・山林地帯。


「囃さーん、こんな森の中にメギドなんているんですかねぇ?」
そう言ってるのは月島。

「木を隠すなら森じゃないが、敵は潜んでいるから注意しろ」
「はーい」

月島は銃を構えつつ、辺りを見回している。こんなところに戦闘員って、おかしくないか?人気全然ないし…。
突如、藪の中から鞭のような物体が複数飛び出てきた。囃はその物体を野太刀でぶった斬る。


囃は野太刀タイプの対怪人用ブレードをメインとして使う。斬るというよりは叩きつけるスタイル。
まるで武士のような戦闘を好むのが囃だ。


「お前ら気をつけろよ、相手は藪に擬態している。鞭に要注意だ」
「へーい」

マイペースな返事をした隊員がいる。声の主は鶴屋。

「鶴屋…緊張感ないのかよ」
囃、ぼやいてる。


支部の主要隊員は他にもいる。久留米と高羽もだ。
久留米はひょいひょいと木に登っていた。

「久留米、何かわかるかー?」
「囃さーん、全っ然見えないよー?ちょっと奥に行ってみるわ」

そう言うと久留米は枝から枝へと飛び移っている。
久留米は身軽な上、難易度高いアスレチックやボルダリングでトレーニングしているだけに、木登りは得意。

支部の主要隊員で、偵察の役目も多いのが彼女だ。



支部主要隊員の見えない敵との戦いは持久戦へとなりかけた。
久留米が戦闘員を発見、囃へ通信。


「戦闘員、発見しました!」

「数は?」
「6体」
「強化戦闘員か?通常戦闘員か?」
「色と形状からするに強化戦闘員だね〜」
「久留米、先制攻撃仕掛けておけ」
「了解っ!」


久留米はどこからか、手榴弾と爆薬を出した。安全ピンを抜き、戦闘員に向けて複数ぶん投げる。

「強化戦闘員に爆薬効くかな〜」


直後、爆発音。この音を頼りに囃達は戦闘員達と交戦中。

「こいつらが元老院製の強化戦闘員か…。つえぇ」
「やっぱり爆薬だけじゃ効かなかったみたいだねぇ」

「久留米!呑気にしてないで戦えよ」
「へいへい。それにしてもこいつら…なーんでまた辺鄙な場所に出たんだか」

久留米はバンバン発砲しながら呑気に話してる。
高羽は二刀流のブレードで戦っていた。


「囃さん!ほとんど効いてませんっ!」
「こっちも効いてねぇんだよ!本部の奴ら、どうやって倒したんだよこいつらを…」



本部に緊急連絡が。


「京都近郊に強化戦闘員出現・交戦中!?しかも劣勢だと!?小田原司令、えっ!?晴斗と鼎を応援によこせって!?急すぎますよっ!」

「首都圏は強化戦闘員が出なくなった代わりにこっちに出現した。このままだと囃達がやられてしまう。至急、組織専用機で応援よこしてくれ。
強化戦闘員撃破の鍵は暁と紀柳院だ」



本部近郊の飛行場。晴斗と鼎、なぜか御堂と彩音が緊急で京都近郊へ行くハメに。

「なんで御堂さんと彩音さんがいるんですか!?」
「晴斗と鼎、お前ら2人の保険だよ」


御堂、だるそう。こうして組織専用機は京都へと向かった。



京都近郊。囃達は苦戦中。


「早く応援来ないか…!このままだと全滅してしまう…」
「囃さん!組織専用機が見えました!」

久留米が叫ぶ。4人に希望が見えた。



現場周辺の飛行場から車で飛ばしてきた本部隊員4人は、急いで加わる。
御堂は苦戦中の囃とバトンタッチした。

「囃、ここからは俺らがやるから少し休んでろ」
「御堂…あとは任せたわ」


晴斗と鼎はそれぞれブレードを抜刀→発動。晴斗は一気に畳み掛け、時にはパンチやキックを喰らわせながらも攻撃。

鼎も発動をうまく利用し、重みのある蹴りをお見舞いする。御堂と彩音は援護。


「晴斗・鼎!一気に倒せっ!!鼎はあれを使え!」
「言われなくても使うよ」

鼎はブレードを媒介に能力を使う。暖かみのある白色にブレードが発光。辺りは浄化の光に包まれた。
晴斗はその隙に一気に強化戦闘員を3体撃破。残りの3体は鼎が攻撃を無効化し、一気に倒してる。


支部の主要隊員達は2人の存在がいかに大事か痛感した。

「なにあれ…」
「暁と紀柳院…なんか俺達とは違う気がしたんだが…。あの光…何?敵、無効化してたよな」


久留米と高羽、ポカーン。



囃は御堂から聞いてたとはいえ、その威力に驚いていた。

あれが暁家と都筑家の「人を守る」ための能力…。暁はかなり攻撃型だが、紀柳院は浄化型なのか。
しかも紀柳院は敵の攻撃を無効化・弱体化している。元老院に狙われるのも無理もない…。あんな力あったらそりゃ欲しがるわ。



鼎はかなり疲れているらしかった。彩音が寄り添う。


「鼎、戦闘時間ギリギリだったみたい。御堂さん、鼎…休ませていいかな」
「いいぞ。どうもその能力…使うと消耗が激しくなるみてーだな…。鼎、考えて使った方がいい」

鼎はゼイゼイ言ってる。かなりキツそうだ。
月島が鼎の応急措置に出た。
「私、救護隊にもいたので多少は措置出来ます。紀柳院さん、寝かせた方がいいですよ」
「わ、わかった…」


鼎はかなり苦しそうだった。鼎の能力には代償があるのか、以前の戦闘よりも消耗が激しい気がする。

やがて支部から救急隊が到着。鼎は支部隣接の組織直属病院へと搬送された。



支部隣接・組織直属病院。


鼎は体力の消耗が激しかったらしく、入院というほどではないにしろ1日休めと言われた。

鼎は自分の能力(ちから)の欠点に気づき始める。
明らかに体力の消耗が激しくなっている…!無効化・弱体化出来る代わりに体力の消耗が激しい。

諸刃の剣なのか…?


晴斗も超攻撃的な発動(能力)・レイジングスラッシュの代償に気づき始める。確かに強力な力だが…これは危険なものだ。闇雲に使ってはいけない代物すぎる…。



晴斗は鼎が休んでいる部屋に来た。

「鼎さん…大丈夫?」
晴斗、かなり心配そう。
「だいぶ良くなったよ。どうやらこの能力(ちから)…私からしたら諸刃の剣かもしれない……」



異空間では鐡一派が絲庵(しあん)と対峙していた。


「お前が『強化戦闘員』を作ったのか、絲庵」
「何が言いたいのですか、鐡」

「お前ら元老院は何を目論んでいる?あの人間2人の能力奪って何がしたいんだ?」
「教えるわけには行きません」


「喧嘩売る気か?絲庵」

鐡は「何言ってんだオラ」というような態度を見せていた。一発触発の雰囲気がバチバチしていた。