人間化した2つのブレードとの不思議な交流も深まり、鼎の怪我も徐々に回復。



その日、晴斗と恒暁(こうぎょう)は鼎がいる病室に来ていた。鼎の側には鷹稜(たかかど)の姿が。


「鼎さん、怪我だいぶ回復したって聞いて来たよ」
「晴斗か。そこにいるのは恒暁か?」

鼎は防弾チョッキにプロテクターを着けた青年を見た。この人?が恒暁か。
恒暁は「あ?俺のことか?」…と言った反応。


「俺は晴斗のブレード・恒暁だよ。そこにいるのは鷹稜だね」
「互いの主の前で会うのは初めてですね〜、恒暁」


鷹稜はどこか嬉しそう。

鷹稜はマジシャンのような出で立ちに、まっさらな白い仮面が特徴的なブレードだ。まっさらな仮面姿ということもあり、動きはコミカル。


「ねぇねぇ鷹稜さん、マジック見せてよ〜」
晴斗は無邪気に言ってる。鷹稜は突如、何もないところからトランプを出した。そしてトランプマジックを鮮やかに行う。


晴斗は釘付けになった。

「すごーい!鷹稜さんカッコいい〜。大規模なマジックも出来るの?」
「イリュージョンですか?出来ますよ。この私のマジック、小児病棟で見せたら好評でして…」
「お前、院内でそんなことをしてたのか」

鼎も知らなかったらしい。


「お前…人を楽しませることが好きだもんな」
「鼎さん、どうしたんですか?なんだか寂しそうに見えますよ?」

鷹稜は鼎に気配りしてる。


「…そうか…?」
「もしかして私が元の姿に戻るのが…嫌なのですか?」
「嫌ではないが、いつ戻るかもわからないんだろう?」

「わからないまま、何日も来ていますからね」
「俺もわからないまま、人間の姿のままだぞ」


晴斗が切り出した。

「恒暁と鷹稜は仲良いいんだっけか」
「俺たちブレード同士・結束は固いぞ。互いの位置もわかるからな〜」

「ブレード同士、深い繋がりがあるんだな」



本部では。

「2人のブレードが人間化して約1週間経ったが、元に戻る気配すらもない。原因も未だにわからないままか。どうします?
人間の姿のまま一時的に戦力として使いましょうか?長官」
「宇崎、そうするしかないよ。彼らは人間化した方が力が倍増することもわかったからね」
「本来の力が発揮出来るからですかね〜」



晴斗と恒暁が帰った後。黄昏時。鼎は鷹稜にこう声を掛けた。

「鷹稜」
「なんでしょう?」
「お前の素顔を見てみたいのだが…いいか?」

鼎はそっと鷹稜の仮面に触れた。鷹稜は鼎の手に触れる。
互いに手袋を履いているが、鼎はぬくもりを感じていた。


相手は自分の武器なのはわかってる。だけども鷹稜はかなり人間臭いような。


鷹稜はしばし、迷っていた。私の素顔を見せても何もならないのに、でも主は見たがっている。どうしようか…。


「無理しなくてもいいんだよ。お前の姿が私の内面ならば、素顔を見せる必要性はないだろうし」
「鼎さん…」

鷹稜は声が震えてる?鼎の優しさに触れたせいか?



さらに数日後。本部は正式に人間化したブレード・恒暁と鷹稜を戦力として迎え入れた。

「室長、今頃になって正式に人間になった恒暁と鷹稜を戦力として迎えたんだ…」
時任、微妙な反応。

「でも元々暁くんときりゅさんのブレードだから戦力じゃんね〜」


確かにそうなんだが。