オフィスビルで飛焔と対峙した晴斗達。敵サイドには杞亜羅という幹部まで現れ、晴斗達は歯が立たずに追い込まれてしまう。

そうこうしているうちに、飛焔が放った炎はだんだん広がり始め――。



晴斗達に西園寺から通信が入る。
「消防隊を要請した。君たちも早く逃げるんだ!」

西園寺達、警察零課とビル内部にいた人達の避難は既に完了していた。
「逃げろっつったって、交戦中だから逃げられねぇよー!」

御堂はギリギリ杞亜羅の攻撃を交わしながら通信。
時任も桐谷と一緒に消火に当たってるが、火元は怪人。


もう、どうしたらいいんだよっ!
時任、やけくそ気味。


飛焔は7階「だけ」を綺麗に燃やすことにしたようだ。

始めからターゲットはビル内部にいた人々ではなく、そこに来たゼルフェノア隊員が目的。

「地獄絵図を見せる」というのは飛焔の、ゼルフェノアに向けた言葉だった。



晴斗は飛焔相手に攻撃するが炎が熱くて効いてるのか、効いてるないのかさえもわからない。
7階は修羅場だが、外からは何が起きているかなんてわからない状況。


鼎は炎のトラウマに怯えながらも、彩音と共に上の階へと進んでいく。

「鼎、何も無理して行かなくても…」
彩音は心配する。
「晴斗達を助けたいんだ…。私にだって出来ることはあるはず…」


やがて6階へ到着。熱気が来ているということは…7階に晴斗達が!?
彩音は止めようと必死。

「7階は行くのやめなって。火を見ることになるから…。鼎、火を見ると動けないんでしょ…」
「それどころではないだろうが!通信が入ってこない…何かが起きている」


彩音は鼎の前に立ちはだかる。ものすごく必死。

「それでも行くの!?冷静になって。考えて。私はもう…鼎が苦しむ姿を見たくない…」


――しばしの間。

「私は行くよ。これ以上大切なものを失いたくないからな…」
彩音は「仕方ないなぁ」…という感じで鼎の話に乗ることに。

「…仕方ないなぁ。鼎は我が強いから…。火が怖かったら私の後ろに隠れてね」
「い…いいのか?」
鼎は彩音の意外な返答に戸惑いを見せる。
「当たり前だよ。何言ってるのさ。ほら、一緒に行こ」

彩音は鼎の手を優しく握る。鼎の手…震えてる。



そして7階へ。


7階は異様な空気に包まれていた。御堂は杞亜羅と交戦・晴斗は飛焔と交戦・桐谷と時任は消火作業に当たってる。

「一体何が起きてるんだ…」
鼎と彩音、立ち尽くす。


飛焔は鼎に気がついたらしい。
「なんだ、あの仮面の女。ゼルフェノアに仮面の隊員なんて初めて見たぞ」


鼎は火のトラウマに耐えながらも、飛焔にジリジリと接近する。火が怖い。

「お前がやったのか?」
飛焔は鼎の問いを無視。鼎はさらに続ける。炎のトラウマで声が震えてる。
「…お前が12年前に起こした事件、今でも恨んでいるからな…」


この仮面の女…。あの時の高校生…なのか?


「忘れたとは言わせないぞ…。お前だけは…お前だけは許さないから…」


鼎はトラウマと戦いながらなんとか飛焔に言った。
鼎は火を見ると動けないのに…ギリギリの状態で飛焔に言い切った。


彩音は鼎に話し掛ける。
「よく頑張ったね。ほら、逃げよ」
「…動けない……」


御堂は鼎を横目で見た。なんで鼎がいるんだよっ!


「よそ見はいけませんよ?」

この女、強いし厄介だな…。御堂は避けるので精一杯。


晴斗は恒暁を発動させる。なんとかしないと!

御堂は晴斗に向かって叫んだ。
「トリガーをもう1度引け!浄化を使えば火は消せるはずだ!!」

晴斗はよくわからないままに特殊発動を起動。刃は優しい光を放つ。そして浄化の光は風を巻き起こし、浄化する。
ものの数十秒で飛焔の炎は全て消えた。


消火後も鼎はまだ動けずにいた。彩音は静かに鼎の手を握った。まだ震えてる…。



飛焔と杞亜羅はいつの間にか姿を消していた。


異空間。元老院本拠地ではない、公園のような場所。


「あのゼルフェノアの仮面の女、心当たりあるの?」
杞亜羅が飛焔になんとなく聞いている。

「…あるな。まさか都筑悠真が生きていたなんてな…。わからないものだ…」

「元老院にはどう報告するのよ…。あの仮面の女のこと」
「…黙っておくよ。都筑悠真の生存を。隊員の言動からして、名前は変えているようだからな」



本部へ戻る車中。鼎は彩音に泣きついていた。後から恐怖が来たらしい。

「鼎、よく頑張ったよ。えらいえらい。あーもう無理しちゃってさ…」
彩音は鼎の頭をよしよしする。御堂は複雑そうに鼎を見ていた。


12年前のこと、まだ恨んでいたのか…。鼎の復讐心は僅かに残っていたのかよ…。憎しみだけでは何も変わらないっていうのに。

あいつがゼルフェノアに入った本当の動機が「復讐」だと聞いた時はびっくりした。
全てはあの事件の犯人である、怪人に対する復讐心なんだろうが…。


今の鼎からじゃ考えつかない。鼎はあれからだいぶ落ち着いている。
時任や晴斗は知らないよなぁ。


晴斗は特殊発動の意外な使い方を知り、飛焔撃破を目標にする。
浄化で炎を消せるなんて…。あれはただの風じゃなかった。

御堂は杞亜羅が気になっていた。また戦うことになるのだろうか…。