粂(くめ)と三ノ宮も異空間へ到着。
「なんで私達が異空間行きなのよ〜」
「これも任務ですって。本部からは暁くんが行ったみたいですが」
2人がいる地点は深い森ではなく、水辺。河原の側。
「暁と合流することになってるけど、あっちは気づいてないかぁ…」
「とにかく暁を探しましょう」
2人は晴斗を探すことに。
本部では憐鶴(れんかく)が到着していた。
「ここが本部…」
憐鶴と姫島は本部のゲートを見上げていた。
「紀柳院さんにああ言われたら行くしかないですよ」
ゲートが開く。2人は本部の中へ。
晴斗は深い森をとぼとぼ歩く。恒暁(こうぎょう)は人間ではないため、勘が鋭い。
「こっちの方から人の気配がするな〜。晴斗、行ってみるか」
「お、おう」
2人はようやく森を抜ける。するとばったり粂と三ノ宮に遭遇。
「え、えーと…ゼノク隊員の…誰だっけ」
「粂よ!こっちは三ノ宮」
「なんでゼノク隊員も異空間に」
「任務よ任務。あんた達に合流しろって言われたのよ」
「そんなわけでよろしくです」
三ノ宮は腰が低い。
3人と人間化したブレード1人は市民解放のために動くも、いまいち見つからない。
「どうしたら解放出来るのかしら」
「異空間には異空間のルールか何かがあるはずだ」
「あ…あの、この人誰ですか?暁くん」
三ノ宮は防弾チョッキにプロテクター姿の青年をちらちら見ながら聞いた。晴斗はしれっと答える。
「あぁ、そいつね。俺の相棒の恒暁。対怪人用ブレードなんだけど、人間にもなれるの」
人間になれる対怪人用ブレードなんて初めて聞いた。
「とりあえず、手がかり探しましょ。私達戻れるかな…」
「そこなんだよね。戻れる保証はないって鼎さんに言われたら。この任務は重大だって」
「『鼎さん』って、紀柳院司令補佐のこと?」
「うん」
「そうなんだ」
本部では鼎と憐鶴が再び会う。場所は小会議室のような部屋。
「憐鶴、協力を仰ぎたいとはなんなんだ?私に出来ることは限られているだろ」
「このまま放っておけば異空間にいる人が戻れなくなりますよ」
「その方法を教えてくれ…。何かしら知っているんだろ」
「はい。だから協力を仰いでいるんです。
私は長官の元で動いていますが、紀柳院さんなしでは異空間に囚われた人々も戻れないと思われます」
「やっぱり長官と繋がっていたのか…。私なしではとはどういうことだ?」
「あなたの対怪人用ブレード・鷹稜(たかかど)が必要なのです」
「鷹稜!?今鷹稜は和希に預けている…」
憐鶴はある武器を取り出した。対怪人用の鉈だ。
「これは私が愛用している対怪人用鉈・九十九(つくも)です。鷹稜同様、高い攻撃力を誇ります」
「九十九も関係してるのか…」
「作り手が長官なのは共通してますからね」
憐鶴は席を立った。
「どこへ行く?」
「地下ですよ。本部の地下にも異空間に行けるルートがあるんですよ」
そんなの初めて聞いたぞ…。憐鶴はゼルフェノアの地下について詳しいのか?
「長官は何かしら考えています。私に『紀柳院司令補佐と協力せよ』と言ってきましたから」
「お前が表に出たのは注意を引くためか…?」
「まぁ、そんなところ…ですかね」
やがて地下に到達。本部の地下はゼノクに比べたらシンプルだが、不可思議な行き止まりがあった。
「行き止まり?」
行き止まりには見慣れない文字が刻まれたレリーフが。
憐鶴は文字に触れる。
「異界の文字ですね。ゼノクの地下にもこれを大きくしたものがあります。支部の地下にも同じようなものがあるでしょう」
「読めるのか?」
「解読出来ます。私はずっと地下にいたのである程度は異界文字は解読出来るのです」
「この場所…異空間に行けるのか?」
「そのための装置です。ゼルフェノアには本部・支部・ゼノクの3ヶ所の地下にあります。
ゼノクには地下以外にも、異空間に行けるゲートがありますが」
ゼノクの異空間ゲート…あの部屋のことか。
「憐鶴、私達も行かなければならないのか!?異空間に」
「鷹稜はまだ預けたままですよね。どうぞ取りに行って下さい」
鼎は地下から御堂を呼んだ。
「なんだよ鼎、急用って」
「鷹稜を…使う時が来たようだ」
「お前戦えないはずだろ!?鷹稜使うってどういうことだ!?」
「市民の解放に必要なんだよ。だから返してくれ。戦闘目的ではない」
「ちょっと待て!3人で行くのか!?」
「…そうだが」
鼎は相変わらず淡々としている。そこに彩音といちかが。
「きりゅさん、あたし達も行っていい?」
「お前…」
「ごめんね。話ずっと聞いてたんだ。思っていた以上に深刻みたいだから私達も行きたいの」
「おいおい彩音まで本気かよ…。しゃーねぇな、鼎・憐鶴、俺と共にこいつら2人も行っていいか?」
御堂もめんどくさそう。
「仕方ないですね…」
憐鶴は「なんでこうなった」…といった反応。
異色のメンバーで異空間に行くことになった。鼎の対怪人用ブレード・鷹稜は久々に主の元に戻る。
憐鶴はレリーフに手を翳した。異界文字が淡く光る。
鼎・御堂・憐鶴・姫島・いちか・彩音の6人も異空間へ合流する流れに。
本部・司令室ではこの状況が予想外だった。
「あいつらまで異空間に行くとか…マジかよ…!無謀にも程があるでしょうが…」
いくら鼎と憐鶴が協力するとはいえ、御堂達まで行くなんて聞いてない…。