風邪を引いたことに対する落胆ではない。

ライブで出順がトリになったことに対する落胆でもない。

そして、これは僕一人が感じた落胆でもない。

2013年5月16日。

僕たちは、全てのサバイバルゲーマーそしてエアガンファンは、この裏切りの日を忘れないだろう。

最高潮に達した期待が一瞬にして落胆へと変わった、この忌まわしき日を…。






と、言うことで!

本日より、ホビーの祭典『静岡ホビーショー』が始まりました!

このイベントには国産エアガンシェアNo.1を誇る『東京マルイ』も毎年出展していまして、最近ではマルイの新製品チラ見せティザー広告とイベント当日の新製品発表がエアガンファンにとっての一大イベントとなっております。

例年ホビーショーは木〜日の4日間(木金は業者招待日)に渡って開催され、エアガンショップ関係者などいち早く新製品に触れられた業者さんたちが続々と『military blog』などに上げる情報を求めてファンの興奮が最高潮に達するのが木曜日なのです。

そして今回マルイさんはティザーサイト上で『驚愕の新次元カテゴリー』発表を大々的に告知しており、業界内では様々な憶測が飛び交い非常に高い注目度を示しておりました。

そして、本日午前。

その新次元カテゴリーがついに我々の前に姿を表したのですが、

一言で言えば





驚愕。




(悪い意味で)






はい、悪い意味で予想の斜め上過ぎて驚愕しました。

そして冷静になると同時に落胆。

もうね、心配になったよマルイの社内が。




さて、今回公開された驚愕の新次元カテゴリー。その第一弾として登場したのが、『VSR-10 プロハンターG』でございます。モンハンみてーなネーミングだな。

マルイのスナイパーライフル『VSR-10』シリーズをベースに、新次元システムを組み込んだ製品です。

外見のモチーフは狩猟仕様のレミントンM700ボルトアクションライフルですかね?

画像はハイパー道楽さんとかで見てください。オレ会場行ってねーから写真ないもん。


で、肝心の新次元システム。

これの内容はと言うと…、





撃つとイヤホンからリアルな銃声が聞こえる。




(;´_ゝ`)






はい、とっても驚愕のステキ新次元カテゴリーが誕生しましたwww

さすがにザックリ過ぎたんでもうちょい細かく説明すると、

銃本体のセンサーが射撃を感知

センサーが無線で信号発信

トランシーバー型の受信機が信号受信

トランシーバー型受信機に接続したイヤホンから銃声

っていう感じです。

銃本体から銃声が轟くわけじゃねーです。

つまり、リアルな銃声を楽しめるのは射手本人だけ。

いや、イヤホンから銃声て…。さすがに寂しいしカッコ悪いわ…。

ちなみに受信機でボリュームと音の種類が選べるとか。



いやはや、一体どこの層を狙っての商品展開なのか。さすがに理解に苦しみます。ここ数年で目撃した工業製品の中で最も意味がわからない。

例えば銃声が出るオモチャといえば、子供向け商品のイメージがありますよね?

しかし、コイツは18才以上対象でしかも定価5万。とても、銃声が出るオモチャで遊ぶ層を対象にはしていません。


ならば、やはり純粋なエアガンマニアを狙ったのだろうか?

この銃はシルバーメッキされた銃身やスコープなどからサバイバルゲーマーよりも『お座敷シューター』と呼ばれるようなユーザー層を対象にしてるのかなーと思われます。

シューターは『撃つ』という行為そのものに楽しみを見出だす層。『戦う』ことを楽しむサバイバルゲーマーとは求める楽しみが異なります。

そう考えると確かに撃つ楽しみは他の銃より優れているかもしれません。少なくとも買って10分くらいはリアルな銃声で楽しめるかも。

しかしですよ、ある時ふと気付くわけです。イヤホンの中では『ドギャーン!!』みたいな派手な銃声が聴こえますが、外した瞬間聴こえてくるのは『ポスッ』という寂しい銃声。

恐らく現実を目の当たりにした瞬間萎えます。賢者タイム半端ないです。『こんなオモチャに5万も払ったのかよ』って悲しくなります。


そしてそして、サバイバルゲーマー層にはハナから必要ない銃でしょう。

だって、イヤホン耳に突っ込んで銃声聴いてどーすんのさ?

確かにサバイバルゲーマーでも『撃ち味』を大事にする層はある程度います。だからこそ射撃の反動がある次世代電動ガンやガスブローバックライフルを使用するわけで。

しかしです、だからと言ってイヤホン突っ込んで銃声聴いてサバゲーってどうですか?

本人はイヤホン内の銃声で悦に入ってニヤニヤしてるんですけど、横に展開した味方にはポスッていう銃声しか聴こえてないわけで。何かもう痛々しくて見てるこっちが恥ずかしい。

しかも銃声やイヤホンのせいで相手のヒットコールだったり、ゲーム終了の合図だったりを聴き逃す可能性すらあるわけです。

まあイヤホンの代わりにスピーカー繋いで、『爆音ライフルwwwwww』とかやる分にはアホらしくて楽しいと思いますが、多分2ゲームくらいで飽きて普通の銃に持ち替えます。そして半年以内にお蔵入りします。


まあね、そもそも5万って価格設定がありえねーよ。何でしょーもないサウンド機能付いただけで5万になるんだよ。研究開発費の無駄遣い過ぎるだろ。

なんですかね、マルイにも老害が巣食っていて、社員たちは仕方なく従ってコレ作ったんですね…?ちょっと社内の様子が不安になります…。



ちなみに新次元システム以外の特徴は、

まずVSR-10シリーズでも最高クラスの性能と言われる『VSR-10 Gスペック』をベースにしております。短めの銃身にサイレンサーを標準装備。銃声システムにサイレンサーってなんだかなぁ…。

ストックはウッド調とブラックの2種類。銃身、機関部、スコープなどの金属っぽい部分はシルバーメッキされています。

また、内部には『VSR-10リアルショックバージョン』や『VSR-10プロハンター』に登載されていたリコイルショック機構を装備。なんとなーく反動を味わえます。

あとはハリスタイプのバイポッド(二脚)を標準で装備。

こんな感じです。こうして仕様を見てみると、各VSR-10シリーズから特徴的な部分を集めた豪華仕様のような印象を受けますね。でも5万は高い。






さて長々と新次元カテゴリーについて書きましたが、それ以外の新製品は電動ガンこそ無いもののそこそこ充実していました。




・M870タクティカル

こちらは東京マルイ初のガスショットガン。

インナーバレルを3本内蔵し、30連のショットシェル型マガジンを使用。正しく従来のエアショットガンシリーズをそのままガス化したかのような印象です。

従来のエアショットガンとの違いはパワーソースの他に、発射弾数が3発同時と6発同時で切り替えられること。ショットシェル型マガジンは流用可能。

パワーの安定感ならエア式の勝利だと思うんですが、ガスはエアピストンと圧縮する必要がないのでコッキングが軽いのがいいですよね。

シェルが1つしか入らなかったり、廃莢口が少ししか開かなかったり、ポンプアクションのストロークが少し短かったりとデフォルメがある半面、性能は電動ガンとも撃ち合えるほどというとてもマルイらしいガスショットガンに仕上がっています。

M870は既にマルゼンがシェル式のガスショットガンを発売しているため真新しさはあまりありませんが、『作動のリアルさならマルゼン』、『射撃性能の高さならマルイ』といった感じで選択肢が増えたのはユーザーとしてありがたですね。




・M320A1

こちらはHK416やM4、SCARといったレール付きライフルに組み合わせて使う前提のカートリッジ式グレネードランチャー。カートリッジ式のガス・グレネードランチャーもまたマルイ初。

グリップにガスを充填し、銃身をスイングしてプラスチック製の40mmグレネード弾型カートリッジを装填して使用します。カートリッジには18発のBB弾を装填可能。

カートリッジ式のM320グレネードランチャーはIRON AIRSOFTといった海外メーカー、通称『中華メーカー』から既に販売されていてこれも後追いとなりますが、マルイ製には独自の機構があります。

海外メーカーは『モスカート』というガスとBB弾を装填したカートリッジを使用。モスカートは様々なメーカーから様々な装弾数のモデルが発売されていて、基本的に40mmグレネード弾を使用するランチャーならメーカーの垣根を越えて使用可能です(一部、微妙に寸法違って使えない組み合わせもありますが)。

モスカートはそのものにガスと弾を装填しており、1回発射したらガスと弾を再装填する必要があります。なので、複数モスカートを用意して一射ごとに入れ換えるのが一般的です。

ちなみにガスと弾をカートリッジそのものに装填するため、モスカート単体を手に持って使用することも出来ます(通称"漢撃ち")www

あとは通常のエアガンなら必ずあるインナーバレルがないのも特徴。

対するマルイ製は、まずカートリッジの仕組みが違います。ガスはランチャー本体に充填するためカートリッジには弾しか入っていません。そのためプラスチックで作れるため軽量で、またガスが入っていないので暴発の心配もナシ。

もちろん1回の射撃で18発を一気に撃ち出すので撃ったらBB弾再装填なりカートリッジ入れ替えなどが必要なのは変わりませんが、カートリッジ自体が軽いので沢山持っても負担は少ないかも。

あと、マルイ製はランチャー内部にインナーバレルを備えているのでモスカート仕様の中華ランチャーよりも比較的弾がまとまって飛んでいくみたいです。またインナーバレルのお陰で少いガスでも効率よく発射出来るため燃費もいいとか。

インナーバレルのせいで見た目のリアルさは少し損なわれてしまってますが、その分実射性能は高いのでやっぱりマルイらしい設計ですね。




・M9A1ステンレスモデル

マルイ製ロングセラーハンドガン『M92Fミリタリーモデル』のリニューアルとして昨年夏に発売されたガスブローバックハンドガン『M9A1』。それの銀ピカバージョン。

"硬質マットクロームメッキ"を施した銀メッキボディが特徴です。ちなみに、実銃にはこんな仕様ないらしい。

マルイの『M92F』のバリエーションには同じく銀メッキの『クロームステンレス』というモデルがあったため、それに対応する商品ですね。

ちなみにクロームステンレスモデルはグリップがホーグタイプのフィンガーチャンネル付きラバーになっていてサイトにも赤いドットが足されるなど外見の変化がありましたが、こちらのステンレスモデルはメッキ以外は同じようです。

また、M9A1のバリエーションモデルとしてはバイオハザードとのコラボ商品『サムライエッジA1 ジル・バレンタインモデル』が先月公開されています。

これまでもサムライエッジシリーズは様々なモデルがリリースされていましたがそれらは全てM92Fベース。M9A1をベースにしたモデルとしては今作が初となります。

スライドが新規設計のブリガーディアスライドとなっている他、グリップもオリジナル。

サムライエッジはゲーム内の架空銃ながらエアガンとしても高い人気を誇っていただけに、リニューアルは嬉しいですね。




・コルトガバメント シリーズ70 ニッケルフィニッシュ

アメリカの名銃『コルトガバメント』シリーズの最新作がこちら、『ニッケルフィニッシュ』モデル。

要するに銀ピカバージョンなんですが、先程のM9のステンレスが白っぽいマットな銀だったのに対し、こちらは鏡面仕様でピッカピカ。

恐ろしく指紋が目立ちそうですが、その分とても美しいですね。

余談ながらこのコルトガバメントという銃は1911年に誕生。以来一世紀以上に渡ってアメリカ軍と共に世界中の最前線を渡り歩く、正しくアメリカ人の魂を体現した名銃です。




・BBエアーリボルバー シリーズ

対象年齢10歳以上、エアコッキング式のリボルバーがマルイの新たなカテゴリーとして登場。

ハンマーをコックするとグリップ内のシリンダーが圧縮される仕組みです。クラウンモデル社製のエアリボルバーと同じ仕組みですね。

シングルアクションでのみ発射可能で、ダブルアクションだとシリンダーが回転するだけなのもクラウンモデル製と共通します。

まず第一弾ラインナップとして、

・コルトパイソン 357マグナム(4インチと6インチ。それぞれブラックとシルバーの2カラー)

・スミス&ウェッソンM29 44マグナム(4インチと6.5インチ)

・スミス&ウェッソン M629 44マグナム(4インチと6.5インチ。はM29のシルバーモデル)

が登場するようです。

また、マルイには既存のラインナップとしてガスのリボルバーがあり、これは穴一つにつきBB弾を4発装填でき、リボルバーとしては画期的な装弾数24発が売りでした。対してこちらはBB弾1発を入れたカートリッジ6本をシリンダーに装填する方式。これもまた、クラウンモデルと同一です。

対象年齢を10歳以上にしたのは、威力を落とすことによってコッキングを軽くするためですかね?




と言うわけで、主要な新製品は上記の通り。他にも10歳以上用の電動ガン ライトプロや同じく10歳以上用の電動ガンBOYS、これまた同じく10歳以上用の電動ブローバックM9A1などが展示されていたようです。

次期ラインナップのモックアップとしてM&PとHK45が展示してあるのはいつも通り。

やたらと対象年齢10歳以上商品の展示がしっかりしてる&多いことや、例の新次元カテゴリー(笑)などから、今回はとても『おもちゃ』メーカーとしての側面が目立っていたなーと感じました。

そして新製品に真新しさがないのが残念。ガスショットガンはマルゼンやマルシンの後追い、M320は中華の後追い、エアリボルバーもクラウンモデルの後追い、そしてガスブローバックはバリエーションモデルばっかり、という有り様。

例えばこれまでのSCARとかHK416もモデルとしては中華の後追いでしたが、中身はマルイ独自の次世代電動ガンだったため驚きや感動はそれなりにありました。

しかし今回のラインナップのワクワク感の少なさと言ったら…。

あと、小売店側の視点だと主力商品である電動ガンの新作が無かったのがなかなか痛いのでは?




とにかく、非常に地味で期待はずれなホビーショーでした。とほほ。

ガンスミスバトンの社長の言葉を借りるなら、『驚ガクッ』。

ノシ