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第27話(下)

元老院の外では鐡vs鳶旺(えんおう)の戦いが始まっいた。人間態限定という条件付きで。

鐡は部下を取り戻すために鳶旺を翻弄する。
「その程度かよ!ジジイ。怪人態にはなるなよ?今回は手加減しての勝負だっつってるだろ?」

鐡はかなり煽っている。人間態限定だが体の一部は変化可能。
鐡は右腕を剣に変え、鳶旺と小競り合いをしている。

「元老院がなんで『仮面の掟』を作ったのか、俺が暴いてもいいんだよ?」
「それだけはやめろ」
「やっぱり怪しいですな。様子見してねーでかかって来やがれ」


だが鳶旺は慎重に攻撃するだけで、鐡的にはつまらないようだ。
鐡は腕を元に戻した。そして鳶旺の仮面にガバッと触れる。


「てめーの素顔を周りに見られたくなかったら、部下を返せ。いいな?」

完全に鐡は脅しているが、鳶旺はその圧力に屈してしまう。元老院の仮面の掟、人前では素顔を見せない…これが破られるとどうなるか…。

鳶旺は圧力に負けた。鐡のやり方は荒いが、ただの愉快犯ではない。


こうして鐡の元に2人の幹部が戻った。だがこれで元老院と鐡の関係は悪化する。



休日、どこかへ出かけていた烏丸はやがてゼノクへと帰ってきたが、どこで着替えたのかゼノクスーツの上に服を着ていた。

いつの間に着替えたの…?


烏丸は戻ってくるなり、同僚の式見(しきみ)に声を掛けた。式見はこんな反応。


「烏丸…やっぱりダメだったか…。スーツないと無理かぁ」
「何回も試してるけど、逆に変な感じがして…」
「それで途中で着替えたのか…って、よくそんな場所あったなぁ!?」

「今日行った場所は元ゼノク入居者が多い区域だったので…着替える場所には困りませんでしたよ」


行った場所も場所だが…。烏丸、人多い場所苦手だからどうしてもな〜。


「無理して依存性を克服するなとは言わないから、少しずつ改善して行こう。烏丸みたいなスーツ依存、他の職員もいるから大丈夫だって」
「大丈夫…かなぁ」



2日後。晴斗は研究施設に呼び出された。そこには蔦沼と西澤が。


「暁。ブレード、持ってきた?」
蔦沼、めちゃめちゃ軽い言い方。

「は、はい」
晴斗、初めて長官を前にして緊張。蔦沼はブレードを受け取る。


「そんなに緊張しなくてもいいよ。僕、カリカリするようなタイプじゃないし」

なんかあっけらかんとした人だなー。この人が蔦沼長官?長官のイメージと全っ然違う。
噂通り、両腕は義手だ。黒いスタイリッシュな義手。あれ…戦闘兼用だって聞いたけど。


「暁、ちょっとばっかしこのブレード借りるね。調査したいんだ。なんであの時、イレギュラーな発動が起きたのか。ただの偶然なのか、必然なのか」
「は、はい…。わかりました」

「おそらく敵はしばらく来ないだろうね。あっちもあっちでゴタゴタしているっぽいし」
「ある程度わかるんですか!?」

晴斗、びっくりしてる。


「だって最近襲撃したやつ、幹部クラス・元老院副官・なぜか鐡だったでしょ?おかしいとは思わないか?敵勢力が勝手に内部崩壊すればこっちは楽になるのだが」



ゼノク・東館。


鼎はいつの間にか七美とも話をするように。
「お前が例の『ゼノクのインフルエンサー』か」
「あれ、もしかして紀柳院鼎さんですか!?ゼルフェノアの仮面の隊員」

七美の顔は見えないが、テンション高い。


「お前…ポテンシャルものすごく高いよな…。ゼノクスーツの可能性、試しすぎだろ。昨日の配信、見たぞ」
「見たんですか!?」


七美はオーバーアクション。ゼノクスーツは顔が見えないのもあるため、七美はとにかく大袈裟に反応する。

鼎は淡々と続けた。
「よくそのゼノクスーツ姿でお菓子作りをしたよな…。まさか料理も…」
「料理は不定期に更新してますよ」


視界とか手元とか大丈夫なのか…?動画を見た限り、手元はスーツが濡れないようにゴム手袋を履いていたが。


「ゼノクスーツでスポーツする人って、いるのか…。過去にお前は挑戦していたみたいだが」

「屋内ならこのスーツ姿でもなんとか出来ますよ〜。野外スポーツはまだ未知の領域ですね。
紀柳院さん、知らないんですか?ゼノクスーツ着用者でもいますよ〜。最近高校生選手がメディアに出ていたような。陸上だったかな…」

「ゼノクスーツの可能性、ありすぎだろ…」


なんだこの会話!?七美のペースに嵌められてる。
相手は顔がまるっきり見えないのに…。あちらからしたら、仮面の女相手だからイーブンか。


「紀柳院さん、不思議ですよね。仮面って表情ないと思っていたのに…あるんですね。流葵(るき)さん見ていてそう思いました」
「流葵とも仲が良いのか?」

「私達は仲間みたいなもんですしー。ゼノクの治療って長期戦だから、自然と仲間になれるというか…」
「確かにゼノクは若い人ばかりだもんな…。怪人に若者ばかり狙われるのだろうか…」


「西澤室長から聞いたんですが、後遺症が残りやすいのが若者が多いってだけみたいなんです。年寄りは容赦なく怪人に手をかけられてるとか」


抵抗出来ないからか…。



ゼノク・研究施設。


蔦沼と西澤は晴斗のブレードを調査中。本部よりも設備が大きいために細かく分析可能。


「これは時間かかりそうだね〜」

「長官、分析は私がしますから長官は予定をこなして下さいよ〜」
「…っていうけどさ、だいたいリモートで済むから問題なかったわ」


それでいいのか!?それでいいのか長官!?ラフすぎない!?
つーか、軽いなっ!



それから長官の言う通り、敵はしばらく出てこなかった。
その間に鼎達はトレーニングルームや道場を使い、鍛練をすることとなる。


第27話(上)

晴斗vs鐡戦から一夜明け、ゼノク内部にある隊員用宿泊棟では鼎が晴斗がなかなか起きてこないことに気づく。普段ならとうに起きて本館にいる時間帯なのに。


あいつ、大丈夫なのか…?



「晴斗が来ない?」


御堂も気にはなっていた。前日あれだけ激しい戦闘をしたんだ、いくらタフでも鐡との差は歴然で。昨夜はピンピンしていたが…消耗が激しかったのかねぇ。


「何度か連絡したが、出なかったぞ」
「鼎、わざわざ起こしに行ったのかよ…」

「いけないのか?」


いけなくはないが…鼎は晴斗には甘いからな〜。



ゼノク・隊員用宿泊棟。ここはゼノク隊員用ではなく、本部や支部などから派遣された隊員が泊まるためにある宿泊棟。
ゼノク職員・隊員は専用の居住区がある。近くから出勤している人もまあまあいるような感じ。


晴斗は体が鉛のように重く感じていた。ほとんど動けない…。
昨日の鐡戦のせいだろうか…。


そんな晴斗に連絡が入る。晴斗はギリギリしながらスマホを取ると、電話に出た。

「暁。西澤だよ。大丈夫か?」
「西澤室長…?なんですか、いきなり」


西澤は晴斗の声の調子ですぐにわかったらしい。

「声の調子からするに動けないんだろう。ゆっくり休むんだ。寝るのも大事ですよ。本部隊員には君が消耗が激しくて動けないことを伝えておきますね。今日は無理でしょう」

「そんなに俺、ヤバいの?」


「昨日、たまたま君が発動したオレンジ色の『あれ』、かなりの体力を消耗することだけはわかったんだ。暁のブレードを調べてみないことにはわからないが、ま。今日はゆっくり寝ててね」


ブレードを調べてみないとわからない!?昨日の「あれ」って、一体何が起きてんだ!?

晴斗自身もまだわかっていなかった。とにかくやたらと体力を消耗することだけはわかったが。



ゼノク・本館。本部隊員、晴斗以外が集まっていたところに西澤が来る。


「暁と連絡してみましたよ。昨日の今日だから消耗激しくて動けないらしい。だから今日は寝て休めと言っておきました」
「晴斗が動けないなんて、珍しいよな…」

御堂も微妙な感じに。鼎は西澤に聞いてみる。


「あのオレンジ色に変化した晴斗のブレードが関係してるのか!?」
「恒暁(こうぎょう)は調べてみないとわからないよ。明日以降、暁のブレードは調査しますよ。敵の動向からして、ゼノク周辺にはしばらく来ないと見たからね」



ゼノク・司令室。


蔦沼は南と会話中。
「暁の恒暁、陽一のブレードと同じような反応を見せてるんだよな〜。そこまで似なくてもいいのに」

陽一とは晴斗の父親。元ゼルフェノア隊員。蔦沼は隊員時代の陽一を知る人物でもある。


「陽一も怒りをエネルギーに変えていたが、それと関係してるのか?」

隊員時代の陽一は怪人の悪行に正義感故に怒りを見せていたが、怒りをエネルギーに変え次々と撃破していた経歴がある。これを知る者は少ない。



異空間・元老院。


鐡がついに動き出す。

「おい、ジジイ。そろそろうちの部下達を返して貰おうか?」


鐡はジリジリと鳶旺(えんおう)に迫る。かなり高圧的な態度。
2人の距離はかなり近い。元老院の長と副官は黒いローブに白いベネチアンマスク、フードを目深に被っていて顔なんて隠れて見えないが、鐡に圧倒され鳶旺は少し後退している。


「お前らの道具じゃねーんだよ、釵游(さゆう)と杞亜羅(きあら)はな。だから返しやがれ」
「嫌だと言ったら?」
「てめーを叩きのめすまでよ。元老院の長vsメギドを統べる者、戦ったら面白くねぇか?」

「ふざけてるのか!」
「俺はあんたの力を見たいのよ。元老院の長に本当にふさわしいのか、じゃあさ…これから勝負しない?あくまでも怪人態にはならずに人間態限定で。場所は元老院の外でな。俺が勝ったら部下は返して貰うぞ」


鐡は元老院とあえて勝負することにした。幹部を返す条件で。ほとんど一方的だが、鳶旺も鐡の気迫には勝てなかった様子。

副官の絲庵(しあん)は止めようとする。
「長、いいのですか!?鐡は挑発してますよ!?」
「この対立は前からあっただろう?それだけだ」


鐡はそれを聞いてニヤリとした。



ゼノク・東館。


いちかの兄・眞(まこと)は最近起きてるゼノク周辺の怪人案件が気になっていた。
眞は全身タイツのようなゼノクスーツを着ているために、顔が隠れて見えないが同じゼノク入居者とは友達も出来たしそつなくやれている。


そんな眞には似たようなゼノクスーツを着た友達がいた。七美である。年齢も近く、彼女はパステルカラーやピンク色のゼノクスーツを好んで来てる。

見た目だけでも女性らしくしたいのか、スーツの上にウィッグ着けてるのが見ていて暑そうだが、彼女には関係ないらしい。


「まこっちゃん、最近妹に会ったんだ〜。ゼルフェノア隊員だっけ?」
「いちかのことか?」
「あぁ、それだ。『時任いちか』」


「お前、また変な配信する気じゃないんだろうな〜」


眞は七美に釘を刺している。七美はゼノクのインフルエンサー的な存在。

ゼノクスーツの存在を知って欲しいが故に配信を始めた。組織の機密に触れない範囲内での配信は認められている。
この世界ではゼノクを出た後も少数だがゼノクスーツに頼る怪人被害者もいるために、認知度を上げる必要がある。

組織でもたまにイベントをやっているのだが。


「今回の配信は『ゼノクスーツを着た状態でお菓子は作れるのか!?』だから無問題だよ」
「ゼノクスーツの可能性に挑戦しすぎだろ…七美。今回は何作るのさ」

「えっ?クッキー作りだよ」


こいつのポテンシャル高いよな…。


ゼノクで治療しつつも、居住区ではちゃっかり配信している。たまにはスポーツに挑戦したりと積極的なせいで、じわじわ再生回数伸びてるんだっけ。

七美曰く、「ゼノクスーツは顔が見えないからやりやすい」って…。
七美にはこだわりがあるらしく、配信する時は必ずピンク色のゼノクスーツを着る。カラーバリエーションが多いゼノクスーツなので、ピンクだけでも多様。


「最近ゼノク出た人、出戻りしたみたいだけど…ゼノクスーツ着てると弊害ヤバいって聞いた」
「だから最近居住区に微妙に人、増えたのか」


「私達も適応出来なくなるのかな。だってさぁ、ゼノク出た後も少数だけれどゼノクスーツ着ている人…いるんだよね…。
人によっては人前だけゼノクスーツとかもあるみたいだよ…。その逆もあるってさ」

「そういや七美、俺達よりも職員の方がヤバいと聞いたよ。ゼノクスーツ依存性になってる人、意外と多いって。
俺達は治療目的で着てるから依存も何もないが、職員達はビジネスゼノクスーツだからなりやすいのかなぁ」
「インフォメーションの烏丸さん、かなりヤバそう…」


「烏丸」とはゼノク職員で、インフォメーションにいる。人前では常にゼノクスーツ姿なために逆に心配されてしまってる。



ゼノク・本館。


その日のインフォメーションには烏丸がいなかった。どうやら休みらしい。鼎はよく烏丸と会話していたので変な感じ。


「今日は烏丸いないのか…」
「紀柳院さん、ごめんね。今日は烏丸さん、休みなんだ」

インフォメーションは基本的に2人体制。もう1人の人が申し訳なさそうに言ってる。
すると、ショートヘアーの女性がゼノクから出るのを見た。


「…ゼノクにあんな人、いたか?」
鼎が聞いてる。

「あれ…烏丸さんですよ?」
「烏丸だと!?素顔あんな感じなのか!?」
「でも彼女、ゼノクスーツ依存性らしいからバッグの中にスーツ入れてるはず…」
「ビジネスゼノクスーツの弊害か…」





第27話(下)へ続く。


詳細設定(ゼノク編・主要隊員)

自分用メモを兼ねた自己満創作小説の詳細設定。ゼノク編の登場人物、まずは隊員から。追加更新ちょいちょいあるかと。



・二階堂芹那(にかいどう せりな)


ゼルフェノア・ゼノク所属隊員。初めはゼノク職員だったが隊員になった。
右腕が義手・左脚が義足という特徴がある。隊員になって以降、義肢は戦闘兼用のものを使っている。


戦闘しやすいように制服はカスタムしており、上着の袖はアシンメトリー。スラックスはハーフパンツのようにカスタム。左脚の義足の膝下が見えるようにするため。


特徴的な戦闘兼用義肢はスタイリッシュなデザイン。二階堂の義手は白く、義足は黒い。
今のところ確認されている義手のスペックは銃撃モード(腕から砲身展開可)・刃物展開(腕や肘からブレードが展開)・火炎放射(手のひらから発動)。銃撃と刃物は同時展開可。
義足のスペックは膝下から足首にかけてブレードが斜めに展開される。仕込み刃がある。


一人称は「私」。基本的に敬語。時々口調が砕ける。相手のことは「さん」呼びが多い。
世話焼きお姉さんタイプ。大人しそうに見えるが、戦闘になるとキャラが変わるが敬語キャラのまま。

トレーニングルームにいる隊員に差し入れしたりと、気配り上手。
上総(かずさ)とは腐れ縁にある。同僚の鹿本とは仲良し。

いきなり試着した戦闘兼用義手を使いこなすという、戦闘センスの持ち主。場数を踏むごとに独特の戦闘スタイルを確立。



・上総壱之助(かずさ いちのすけ)


ゼルフェノア・ゼノク所属隊員。ゼノクにおける、斬り込み隊長的なポジション。目立ちたがり屋。
忍者のような技や装備を使うことから、「ゼノクの忍者」と呼ばれているとかいないとか。忍ばない。

制服もかなり動きやすいようにカスタムしている。


一人称は「俺」。ぶっきらぼうな話し方をする。基本的に呼び捨て。ゼノク隊員からは「イチ」という愛称で呼ばれがち。
二階堂とは腐れ縁。なんだかんだ彼女を気にしてる。


本部隊員の御堂に対しては初めライバル心剥き出しだったが、戦闘を通じて意気投合する。背が低いことがコンプレックス。
クナイや棒手裏剣など、忍者っぽい装備がメイン。忍者刀型ブレードを使う。



・三ノ宮秀明(さんのみや ひであき)


ゼルフェノア・ゼノク所属隊員。頭脳明晰なインテリ眼鏡。
ゼノク隊員の中では分析力が高いことから、本部の解析班のような役目を担う。


一人称は「僕」。基本的に敬語で話す。相手のことは呼び捨てが多い。
粂(くめ)との連携プレーが多い。


隊員のバックアップがメインなせいか、基本装備(対怪人用銃・近接用短刀)で戦う。
よくノートPCを持ち歩いているのが特徴。



・粂 飛鳥(くめ あすか)


ゼルフェノア・ゼノク所属隊員。バリバリ攻めるタイプの女性隊員。弓使いでもある。
対怪人用の特殊な弓矢を使う。矢はコントロール可能、弓は分割すると近接用の武器になる。

一人称は「私」。冷たい印象があったがそうではなく、ただの照れ隠し。相手のことは呼び捨て。
三ノ宮とよく連携している。

無題


話題:おはようございます。
昨日の拍手14個ありがとうございます。昨夜はグレかま久々に見てから寝ました。…チーズケーキ食べたくなった。

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