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第20話(下)

宇根隈(うねぐま)山荘で起きた鼎vs飛焔の戦いは激しさを極めていた。
建物周辺では警察と他の隊員達が騒然としている。それもそのはず、山荘は飛焔の蒼い炎によって燃やされていたからだ。


消防隊も懸命に消火するが、蒼い炎はなかなか消えない。
このままだと、中にいる2人のゼルフェノア隊員は…!

消防隊も躍起になっていた。



山荘内部では激しさを極めている。鼎の発動したブレードの攻撃力は調整前よりも上がっていた。
身体に負荷が軽減されているせいか、身体が軽い。


飛焔はようやく本気を出す。怪人態になったのだ。

「紀柳院、お前を倒す!!」
「なぜ私を狙う!?何の意図があるんだ!」
鼎は攻撃しながら飛焔に問う。

「元老院の命でね、『都筑悠真』が生存してると都合が悪いんだとさ」
「元老院…だと」
「だから君を抹殺しないとならないわけ。君からしたら12年前の悲劇の再来になるわけだが」


12年前の悲劇の再来!?


晴斗は鼎を庇うようにして割り込んだ。そして飛焔怪人態に立て続けに攻撃する。

「晴斗っ!」
「鼎さん、鼎さんはどんな姿や名前であっても鼎さんだよ!『悠真姉ちゃん』も鼎さんの中に本当はいるんでしょ…?」



鼎はずっと『都筑悠真は死んだ』と晴斗に言ってきたが、本当はそうではない。

名前を変えた今でも『都筑悠真』は心の中にいた。いたんだ。今まで認めたくなかっただけで。



鼎は攻撃を止めてしまう。敵の魔の手が鼎に向かうが、晴斗は鼎を守っていた。

「鼎さんを死なせるものかよ…!」


鼎は再びブレードを構え、突進→一気に斬りつけつつ、振り向き様にさらに一太刀浴びせる。
この攻撃はかなり効果的だった。晴斗と連携しながら蒼い炎の中、戦う2人。



山荘周辺では消火活動が活発に。

「今、何分くらい経ったかな…」
彩音は時間を気にしてる。御堂はぶっきらぼうにいい放つ。

「まだ10分も経ってねーぞ」

嘘!?感覚がゆっくりに感じたからわからなかった…。


「あいつらには勝機がまだあるってことだよ。山荘が燃えてる以上、俺達は入れないが、信じるしかねーだろ彩音」
「そうだよね…」



山荘内部では熾烈な戦いが繰り広げられていた。
鼎の多段攻撃に飛焔をクリティカルヒットを受けている。さらに晴斗の特殊発動での攻撃で、飛焔怪人態はかなりのダメージを受けていた。


「まだまだぁ!!鼎さん、まだ行ける!?」
「まだ行けるさ」

鼎は発動の攻撃力アップモードをさらに攻撃力増しにした。刀身がさらに真っ赤に発光。
赤々とした鷹稜は、鼎の攻撃的なスタイルを具現化したようだった。


鼎はダメージを物ともせず、次々攻撃していく。鼎は攻めの戦闘スタイルなのだ。
ほとんど防御なんてしない。そのせいか、無茶をしやすいが。

鼎は得意の蹴り技でローキックを喰らわせ、さらにヤクザ蹴りのような攻撃を加える。
鼎は対怪人用ブーツを履いてるせいか、効果抜群。


飛焔に攻撃の隙を与えなかった。
2人の連携は信頼関係へと変わる。いつの間にか無言で連携していた。


晴斗はタイミングを見計らって叫んだ。

「鼎さんっ!今だー!!」


鼎は一気に居合いで飛焔を倒すことに成功。飛焔は意外と呆気なく倒された。
戦闘時間に制限が迫っていたせいか、鼎はかなり息を切らしてる。

晴斗は鼎の腕を肩にかけて山荘をなんとか脱出。鼎は気を失っていた。
蒼い炎は飛焔が倒されたことにより、消えた。



皆の元に戻れた晴斗と鼎。


鼎は制限時間ギリギリまで戦っていたのだから無理もない。

彩音はすぐさま応急措置に入った。
「鼎、相当頑張ったみたいだね。あの状況だったから酸欠起こしてたみたいだ…。誰か酸素吸入器、ある?」
「彩音、これを鼎に使え」

御堂は携帯用酸素吸入器を彩音に渡した。
彩音は手慣れた様子で鼎の仮面に酸素吸入器を当てる。しばらく気を失っていた鼎だが、気がついたらしい。


「ここは…?」
「建物の外だよ。鼎、気を失っていたの覚えてないの?」
「飛焔を倒してからは記憶が飛んでる…」


あぁ…鼎途中で酸欠起こしたんだな、やっぱり。


「鼎、よく戦えたね。なんで動けたの?周りは火に囲まれていたのに」
「…わからない。蒼い炎を『火』と認識していなかったのかもな…」



本部・司令室。


蔦沼はこの一部始終を宇崎と共に見ていた。

「紀柳院、火を克服していたようだね。どうだい?『改造版』鷹稜は」


「改造」って思いっきり言ってるよ、長官…。


「鼎の身体の負荷が軽減されただけであんなにも違うなんて驚きですよ。攻撃力アップモード、あんな機能ありましたっけ?」
「あぁ、あれね。あれは追加したのさ。攻撃力増しに出来るようにしたの」


そんな機能いつの間に!?
しかも鼎、使いこなしてるし!


「使い勝手重視で改造したから、彼女の鷹稜を使った印象はほとんど変わらないはずだよ。それじゃあ…」

蔦沼は席を立った。

「それじゃあ僕達はゼノクへ帰るよ。紀柳院によろしくね」


蔦沼と南はゼノクへと帰っていった。



異空間・元老院本拠地。


飛焔がまさかの鼎に倒されたことにより、元老院に動揺が広がる。
副官の絲庵(しあん)は慌てふためいていた。

「鳶旺(えんおう)様、大変です!飛焔が倒されました!」
「何を慌てておるのかね?絲庵よ」
「しかし…」

「私はある情報を掴んだのだ。蔦沼栄治は生きているとな」
「蔦沼…あの男に鳶旺様は素顔を見られたんでしたっけ…」

「今でも覚えているよ。あの屈辱をな…」



この様子を鐡は物陰から見ていた。次なるターゲットは蔦沼か…。
元老院は何かにつけて、ゼルフェノアをターゲットにしている節がある。

鳶旺を本気にさせたらいけない。このジジイはイカれてるからな…。
これらは口実で別の目的があるはずだ。それまでは動かない。


杞亜羅と釵游は元老院の命で動くようになってから、明らかにやる気がない。

せめて杞亜羅だけでも俺の元に置きたいが…。そうなると元老院と内輪揉めに発展しかねないか。


第20話(上)

蔦沼長官の繊細な調整を施された鼎の日本刀型ブレード「鷹稜」。
翌日、鼎は宇崎に呼ばれ鷹稜を受け取りに来る。


「鼎。長官が2日かけてブレードの調整をしてくれた。受け取ってくれ」
「3日かかるところを短縮したのか!?」

鼎はブレードを受け取りながら反応した。宇崎は続ける。
「長官が昨夜夜通し作業していたんだ。急ピッチでな。長官曰く、調整というよりも『改造』に近いそうな」


見た目は見慣れた「鷹稜」だが…。改造に近い?


「長官は今寝てるから、無理してお礼を言わなくてもいいよ。朝方4時くらいまでかかっていたらしいからね」
「そこまで急ピッチに…」
「敵のターゲットが鼎に絞られたんだ、長官だって躍起になるだろうよ」


鼎は鷹稜を見つめた。やはりこれがないと…。


その日の鼎はトレーニングをしなかった。前日、激しいトレーニングをしたせいもある。

この日は怪人が出現せず。



それから3日程経過。何もなかったところに警察零課の西園寺から連絡が。


「零課が飛焔を発見したって?」

「あぁ、あからさますぎて怪しいが起動隊を配置している。場所は宇根隈(うねぐま)山荘だ。ゼルフェノアも出動頼むよ」
「あぁわかった。西園寺刑事、そいつのターゲットはある隊員だ。警察は彼女を守ってくれないか?俺らはその隊員の援護に回るからさ」


「隊員1人がターゲット?」
西園寺は驚いている。

「飛焔は炎使いの怪人だ。蒼い炎を使われたら簡単には消火出来ないぞ…!」
「蒼い炎ってそんなにも危ないんですか!?」
「蒼い炎は消火に時間がかかるんだよ。うちの隊員に効果的に消せるやつがいるから同行させる。消防隊は要請しとけよ」

「わかっていますよ」



都内某所・宇根隈山荘。

そこでは警察と飛焔のにらみ合いが続いていた。宇根隈山荘は廃墟と化したペンション。
西園寺を始めとする零課は中の様子を伺っている。

「ゼルフェノアが来れば突入出来るんだが…。相手は怪人だからな…」


そこに御堂達が到着。

「西園寺さん、状況は?」
御堂は西園寺に聞いてる。山荘内部は動きがない模様。

「ちっ、内部は動きなしか…。わかっているんだよ。飛焔のターゲットは鼎だけだ」
「鼎?」

西園寺は御堂に聞いた。御堂は鼎を示す。
白いベネチアンマスク姿の女性隊員がいた。彼女が紀柳院鼎…。


「飛焔は鼎にしか興味がねぇらしい。鼎に行かせた方がいいんじゃないのか?」
「単独は危ないですよ」
「じゃあ晴斗、飛焔に悟られないように鼎と一緒に潜入してくれ」
「御堂さん、わかったよ」



鼎はブレードをいつでも抜刀出来るようにしている。晴斗は少し距離を置いて山荘へと向かう。


鼎は山荘の扉を開けた。
そこには椅子に座り、待ち伏せしていた飛焔が。

「また会ったな、仮面の女。…いや、紀柳院鼎」
「そこまでしてまで私を倒したいのか?」

2人の間にはピリピリムード。鼎はブレードを抜刀、先制攻撃。


飛焔も手から蒼い炎を発し、建物へと引火させた。

「火が苦手なんだろ?」
飛焔は挑発する。鼎は無言。
だが鼎は不思議と動けていた。晴斗はまだ出てはいけないと物陰から2人の戦いの行方を見てる。


鼎さんが火を見ても動じてない…。蒼い炎というのもあるのか?
トラウマ克服に使ったバーチャル炎は赤い炎だったと聞いてる。それで鼎さんはフラッシュバックと悪夢を見るようになって、バーチャル炎を使うのを止めたんだよな…。


鼎は発動を使わずに次々斬り込んでいく。まるで叩きつけるかのような荒々しい攻撃。

調整された鷹稜は使い勝手が良くなっていた。なんなんだ!?身体が軽い!?


宇崎から通信が鼎に入る。

「鼎、調整された鷹稜は身体の負荷がだいぶ軽減されている。戦闘の制限時間も約5分、伸びるぞ。連続戦闘時間は約20分だ。思う存分にやれ!」
「了解した」

鼎は鷹稜を攻撃的に使い、隙を与えない。時には肉弾戦も使い、飛焔に畳み掛ける。
飛焔は炎を剣に変えたが、鼎の蹴りを喰らう。


この女…いつの間に…。


その隙に晴斗は日本刀型ブレード「恒暁(こうぎょう)」を特殊発動、建物の蒼い炎を消火しにかかる。


もう1人いたのかよ!?


飛焔は晴斗の存在に気づかなかった。晴斗は叫ぶ。

「鼎さんは鼎さんの戦いをして!俺のことはいいからっ!!」
「晴斗…わかった!私は私の戦いをするっ!!」


鼎はブレードを発動させる。刀身が赤く発光する。攻撃的が格段に上がる。



宇根隈山荘・外部。


御堂達は晴斗と鼎を案じていた。彩音が心配する。

「鼎…大丈夫かな…。晴斗くんも」
「晴斗は大丈夫だろ。問題は鼎だ。あいつ…ボコボコにやられてなければいいが」


そこに時任が御堂にこう言ってきた。

「御堂さん、きりゅさんは大丈夫だと思います。だって見てないところでずっと、ハードなトレーニングを積んでいたんだよ!?」
「鼎はたまにストイックになるからな…」
御堂もわかりきっていた。


「私達は2人の帰りを待つことしか出来ないよ…」


彩音は蒼い炎がメラメラと燃える山荘を見つめるしかなかった。

2人とも無事でいてよ…!





第20話(下)へ続く。


紫いものラテ


話題:飲み物
前から気になっていたブレンディ ナチュームの紫いものラテが半額になっていたので買ってみた。
こないだ試しに飲んでみましたが、砂糖じゃなくてきび糖を使っているせいか優しい味がする。

きな粉も入ってるよ。


紫いものラテとあって、ほっこり感が凄まじかった…。ラテなのにいものホクホク感があったのですよ。

このシリーズ全て半額になってちましたが、ナッツのラテが値引きワゴンから消えかけてました。ナッツラテは人気なのか?



この紫いものラテを買って以降、別な日に同じシリーズの黒ごまのラテを買う自分…。
黒ごまのラテはまだ飲んでないけど、こっちもきな粉入りだからめちゃくちゃ香ばしそうだなぁ。


第19話(下)

元老院の命により紀柳院鼎を倒すことに動き出した飛焔。とはいえ相手は毎回来るとは限らないため、戦闘員をゲリラ的に出現させることにした。


「紀柳院が出てくれば計画はうまくいくんだが…。元老院…めんどくさいことを命令してきたな」

飛焔、少し愚痴る。


飛焔の読み通りにゼルフェノア隊員が出動。飛焔は高台から隊員を見る。
あの仮面の女…紀柳院鼎はどこだ?


ゲリラ的に出現した戦闘員相手に隊員達は次々と倒していく。晴斗達は違和感に気づいた。

「御堂さん、これ…戦闘員しかいないよ!?」
「何の意図があるんだ…?」


鼎は彩音と共に銃で応戦してる。

ブレードがあればもっと有利に戦えるのに、その日本刀型ブレード「鷹稜(たかかど)」はまだ長官が調整に時間をかけているらしい。


飛焔はニヤリとした。

見つけたよ、君を。紀柳院鼎…!


飛焔は突如、鼎だけ狙い襲撃したのだ。一瞬だったので周囲はまだ理解出来てない。
鼎は飛焔により、首をじわじわと締め付けられる。


「ひ…えん…!最初から私を狙って…」
「気づくのが遅いよ、紀柳院鼎。いや…都筑悠真。君には死んでもらうよ?」


鼎は必死に飛焔の手を振りほどこうとしている。鼎は仮面姿だが、明らかにもがき苦しんでいた。


こいつに殺されてたまるか…!


晴斗は飛焔に向かい、背後を突いて攻撃をする。衝撃で飛焔の手が鼎の首から離れる。
鼎は彩音になんとか助け出された。首を絞められた影響でむせている。

「鼎、大丈夫!?ここにいると危ないよ、一緒に避難しよ」
彩音はなんとか鼎を連れ出す。


飛焔は鼎を追おうとしたが、晴斗と御堂に阻まれた。


「てめぇ、鼎に何しやがんだ!!」


御堂はキレていた。御堂からしたら、後輩の鼎がこれ以上傷つくのを見ていられなかった。
御堂は飛焔に銃撃するが、かわされてしまう。

晴斗はブレードを特殊発動させ、飛焔と交戦。御堂は晴斗の援護という形になった。


「晴斗!少しでもいいから飛焔にダメージを与えろ!」
「言われなくてもやってる!!」


晴斗は飛焔の炎が変化した剣と、ほぼ互角に剣戟していた。
この少年…いつの間に成長してるんだ!?


晴斗は飛焔人間態に前回よりもダメージを与えることが出来たが、飛焔に逃げられてしまう。

「消えた!?」
「逃げられたか…」



組織車両内。鼎は飛焔の恐怖に怯えていた。


「飛焔は私を殺そうとしていた…」
鼎の声が震えてる。

「鼎、落ち着いて。晴斗くんと御堂さんがいなかったら…ヤバかった…」


あれは炎を使っていなかった。どうせ戦うなら…火を使えと言いたい。
そして…鷹稜はまだ調整終わっていないのかと気になった。

調整が終わるにはあと1日かかると聞いた。いや、半日か?
長官の進捗状況にもよるが。



本部・司令室。


「飛焔は明らかに鼎を狙っていたのか。わかったよ。長官に鷹稜の調整を早めに完了させるように促してみるから」

宇崎は優しかった。鼎をかなり気づかっている。
鼎は首を触っていた。相当強い力で絞められたのだろう。



本部・研究室。


蔦沼は急ピッチでブレードの調整を進めていた。宇崎が再びやってくる。

「飛焔は明らかに鼎を狙ってますよ!?鷹稜ないとめちゃくちゃ不利すぎますって!」
「明日の朝には調整完了させるから、今日の僕は徹夜だよ。
飛焔の目的が明らかになった以上、時間をかけられないからね。元老院は意図があるのだろうよ」


元老院の意図…?


「とにかく明日には紀柳院に鷹稜をお返し出来るから。しかし、暁は成長が目覚ましいな」
「どんどん伸びていますよ…」

「ほらね。暁をゼルフェノアに入れて正解だっただろ?とんでもない逸材みたいだね。彼はもっと伸びるよ」
「のびしろがあるってことですか」
「紀柳院がいることも影響してるんだろうな。暁からしたら、紀柳院の正体は『都筑悠真』…本当の姉のようにしてくれた『悠真姉ちゃん』なわけだし。
姿や名前は変われど、彼女は彼女だからなぁ…」


「鼎のやつ、飛焔に怯えてなきゃいいけど」



一方の鼎は飛焔に怯えるどころか、逆だった。
あれからずっとトレーニングルームに籠っている。さすがに様子見に来た彩音と時任は心配した。


「鼎、そろそろやめなよ…」

「きりゅさん、もう1時間以上やってるよ!?休んだ方がいいよ!」


「わかっている…。休憩が必要なこともわかっているが…飛焔が許せないんだ…」

鼎はたまにストイックになる時がある。


彩音はさすがに鼎を制止した。身体の負荷を心配したからだ。

「これ以上やるとトレーニングでも負荷がかかっちゃう。鼎、もう今日はやめようよ」
「ブレードさえあれば…」
「ブレードは明日には調整完了するって聞いたよ。とにかく休んで。身体を休ませることも大事なんだよ」

「…わかった…」
鼎の声が悔しそう。



その日の夜。研究室はずっと灯りがついたままだった。

蔦沼は夜通し、鼎の日本刀型ブレード「鷹稜」を最終調整していた。深夜にもかかわらず、南も様子見に来てくれた。


「調整、どこまで進みましたか?」
「あと少しで調整は完了するよ。南、今何時?」
「深夜2時過ぎてます」

「朝には『鷹稜』の調整終えるから。明日…いや、今日か。彼女にお返ししたいからね。飛焔はまた来る。狙いは明らかに紀柳院だが、この鷹稜があれば彼女は鬼に金棒だよ」


鬼に金棒って相当なんじゃ…?



そして翌朝、司令室には調整が終わった日本刀型ブレード「鷹稜」が机の上に丁寧に置いてあった。


宇崎は蔦沼からのメモを見た。

『僕は夜通し作業がかかったのでこれから寝るので起こさないでね。鷹稜は調整完了したから紀柳院に渡して欲しい。用があったら南に伝えてね。 蔦沼』


長官、夜通し作業していたのか…。

第19話(上)

晴斗が敵幹部の飛焔と交戦したことにより、飛焔が炎から変化させた剣を使うことが判明。
飛焔は鼎「だけ」と戦いたいということも判明する。



長官が本部に泊まって2日目。午前中から蔦沼は研究室に籠り、鼎の日本刀型ブレード「鷹稜」を調整中。
繊細な調整なため、時間がかかってる。



本部・休憩所。

晴斗は飛焔に少しイラついていた。飛焔に「ガキ」と見下されたのもある。
御堂に見下された方が遥かにマシだった。敵にガキ扱いされた屈辱…。


「何イライラしてんだよ、晴斗。少しは落ち着けって。敵に見下されてイラついてんのはわかるが、真に受けんな」
御堂は晴斗をなだめようとする。

「御堂さん、あいつ…鼎さんだけと戦いたいみたいで…」
「あいつって、飛焔の野郎か」
「そう、そいつ!なんかイラつく言い方するんだよなー…」


御堂は晴斗にさらっと優しさを見せる。

「でもその飛焔にダメージ与えられたのは今のところ、お前だけだろ。誇りを持てよ。幹部にダメージって難しいんだわ。晴斗、お前…特殊発動使ったのか?」
「なんか無意識に使ったなぁ…」


こいつ、すげぇ…。無意識に幹部クラスの怪人にダメージを与えることが出来たとは…。なんてやつだよ。


晴斗は思い出したように言う。

「鼎さん、最近すごいトレーニングしてるよね…。相当来てるのかなぁ…。飛焔のこと」
「鼎本人からしたら倒したい相手だからな。あの事件の犯人なわけだし。俺は鼎に復讐すんなと言ってあるがな」

「ふ…復讐?」
晴斗はびくびくした反応を見せた。御堂はしれっと続ける。

「鼎がここに入った動機は『怪人への復讐』だったの、知らねぇだろ。今でこそだいぶ落ち着いたが、鼎が入った初期は復讐に取り憑かれていたやつだった…」
「鼎さんがやけに戦闘で攻撃的なのって…」

「あいつが復讐に取り憑かれていた時の名残だよ。だから戦闘に制限時間を設けたわけよ、室長は。鼎が無茶しやすいのは変わってねぇからこっちは毎回ヒヤヒヤする」


あれ…御堂さん、ちょっと保護者っぽい言い方になってる…。


「ま、鼎の復讐に取り憑かれていた件は忘れてくれ。今はまぁ穏やかだが、犯人の飛焔が出てきたことによって、鼎の中に燻っていたものが出てきたらヤバいし」
「わ、わかったよ…」


晴斗は複雑だった。鼎さんが組織に入った初期は復讐に取り憑かれていた!?
戦闘であんなにも攻撃的なのは、そういうことがあったのか…。



本部・研究室。

蔦沼は鼎のブレードを発動させてみた。本来なら使い手しか発動出来ないが、実は作り手も発動させることも出来る。
そこに宇崎がやってきた。

「長官、進捗状況どうですか?…ってうおっ、発動させてる…」
「ブレードの発動テストだよ。紀柳院の身体に負荷がかかりにくくするのは、この発動ではまだ彼女の負荷になる…」


蔦沼は発動を解いた。


「とにかくまだ時間がかかるから、紀柳院には不便かけるかもしれないな…」
「彼女、トレーニングルームで訓練してましたよ?相当飛焔を倒したいらしい」


蔦沼は作業しながら受け答えた。

「そりゃあ、彼女からしたら犯人の怪人…ましてや幹部クラスだ。倒したいだろう。暁の証言で飛焔は紀柳院だけと戦いたいと聞いたからな…。飛焔は元老院の命で動いてるみたいだが…。元老院ねぇ…」



異空間。元老院本拠地。


鳶旺は飛焔を呼び出す。

「なんでしょうか、鳶旺(えんおう)様」
「飛焔、でしゃばるなと言ったはずだ。昨日…予想外とはいえ、交戦しただろ?あの人間と」
「暁という少年のことですか」

「いいか、飛焔は紀柳院鼎を抹殺せよ。紀柳院鼎と名は変えてるが…都筑悠真が生きてると我々としては都合が悪いのだよ…」

「承知しました」


紀柳院鼎が生きてると元老院からしたら都合が悪いだと?
鳶旺は何か隠してるような気がしてならない…。

紀柳院鼎は人間だが…。



本部・トレーニングルーム。


鼎はバーチャル怪人と対峙していた。バーチャル怪人は武器ならダミーなら使用出来ると聞き、ダミーブレードでバーチャル怪人「中」と戦っている。

だんだん慣れてきたが幹部はこれよりも強い。
鼎はダミーブレードで一刀両断。バーチャル怪人は消えた。


鼎も飛焔に関する情報を聞いていた。炎を変化させた剣を使うこと。
戦いたいのは自分だけだと…。

飛焔はこだわりが強いと聞く。それもあるんだろうか…。





第19話(下)へ続く。


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